刑法第263条・毀棄及び隠匿の罪
刑法第263条:信書隠匿
他人の信書を隠匿する罪です。第四十章の名前にある「隠匿」を一手に引き受ける、章のなかで唯一の条文です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
章の名前は「毀棄及び隠匿の罪」なのに、隠匿はこの条文だけ?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そのとおりじゃ。263条が章の名前の後半をひとりで引き受けておる。123条が「出水及び水利に関する罪」の後半を引き受けておったのと同じ構図じゃな。
条文の内容
他人の信書を隠匿した者は、六月以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
要件を分解する
| 要件 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 客体 | 他人の信書 |
| 行為 | 隠匿した |
| 刑 | 6月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金もしくは科料科料刑法17条が定める、千円以上1万円未満の財産刑。行政上の制裁である「過料」とは別のもので、区別のため「とがりょう」と読み分けることがあります。用語ページを見る → |
第四十章のなかで最も軽い法定刑です。
133条との対比
信書を扱う条文は、刑法に2つあります。
| 条文 | 章 | 行為 | 刑 | 親告罪 |
|---|---|---|---|---|
| 刑法133条(信書開封信書開封正当な理由がないのに、封をしてある信書を開けること(刑法133条)。刑法135条により親告罪です。用語ページを見る →) | 秘密を侵す罪 | 封をしてある信書を開けた | 1年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金 | ◯(135条) |
| 刑法263条(信書隠匿信書隠匿他人の信書を隠匿すること(刑法263条)。6月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金もしくは科料で、264条により親告罪です。刑法133条の信書開封罪とは章も客体の扱いも異なります。用語ページを見る →) | 毀棄及び隠匿の罪 | 他人の信書を隠匿した | 6月以下の拘禁刑等 | ◯(264条) |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
133条は「封をしてある」信書だけど、263条にはその限定がないね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
よく気づいたのう。守っておるものが違うからじゃ。133条は秘密、263条は信書という物の利用。だから客体の絞り方も変わる。
「隠匿」という語
| 条文 | 隠匿の対象 |
|---|---|
| 刑法114条 | 消火用の物 |
| 刑法121条 | 水防用の物 |
| 刑法227条1項・2項 | ——(蔵匿・隠避) |
| 刑法263条 | 他人の信書 |
261条との関係
信書も「他人の物」ですが、隠匿にとどまる場合は261条の「損壊・傷害」に当たりません。263条が別に置かれているのは、そのためと読めます。
親告罪
第264条により、263条の罪は親告罪親告罪告訴がなければ公訴を提起することができない罪。刑法135条は、秘密を侵す罪(信書開封罪・秘密漏示罪)を親告罪としています。用語ページを見る →です。
資格別の演習
他人の信書を隠匿した者は、6月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金もしくは科料に処せられる。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。刑法263条の定めです。
刑法263条の客体は、封をしてある信書に限られる。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。「封をしてある」という限定を置くのは刑法133条であり、263条にはその文言がありません。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
さあ、次が最後の条文じゃ。刑法第264条——本則の終わりじゃぞ。