民法第102条・総則

民法第102条:代理人の行為能力

制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限を理由に取り消せません。効果が本人に帰属する代理では、代理人自身を守る必要がないからです。

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レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

未成年者に代理人を頼むことってできるの? 自分の契約は取り消せる立場なのに。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

できるのじゃ。しかも民法102条本文は、その代理行為を行為能力の制限では取り消せないと定めておる。驚くじゃろう。じゃが理屈を追えば、これしかないのじゃよ。

条文の内容

制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為については、この限りでない。

本文:行為能力の制限では取り消せない

要素 内容
場面 制限行為能力者制限行為能力者せいげんこういのうりょくしゃ未成年者・成年被後見人・被保佐人・民法17条1項の審判を受けた被補助人の4者をまとめた呼び名(民法13条1項10号)。用語ページを見る →代理人としてした行為
効果 行為能力の制限によっては取り消すことができない

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

どうして取り消せないの? 判断が不十分な人がした契約なのに。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

民法99条1項を思い出すのじゃ。代理行為の効果は本人に直接生ずる。代理人には帰属せぬ。つまり、代理人自身は不利益を負わぬのじゃな。行為能力の制度は本人を不利益から守るためのものじゃから、ここでは働かせる理由がない。

そして本人の側から見れば、判断力に不安のある者を自分で選んだのじゃ。その結果を引き受けるのは筋であろう。

条文が「行為能力の制限によっては」と限定している点にも注意してください。他の理由による取消し——たとえば詐欺詐欺さぎだまして誤った判断をさせること。詐欺による意思表示は取り消すことができます(民法96条1項)が、その取消しは善意でかつ過失がない第三者に対抗できません(同条3項)。用語ページを見る →強迫強迫きょうはくおびやかして意思表示をさせること。民法96条1項により取り消すことができますが、同条2項・3項は詐欺のみを対象としており、強迫については定めがありません。用語ページを見る →——まで封じるものではありません。

ただし書:他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為

ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為については、この限りでない。

要素 内容
場面 制限行為能力者が、他の制限行為能力者の法定代理人法定代理人ほうていだいりにん本人が選んだのではなく、法律の規定によって代理権を与えられた人のこと。未成年者の親権者や成年後見人がこれにあたります。用語ページを見る →としてした行為
効果 本文の適用がない(=行為能力の制限による取消しの余地がある)

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

なるほど……。この場合、本人は自分で代理人を選んでないんだ。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

そこじゃ。法定代理法定代理ほうていだいり法律の規定によって代理権が生じる代理のこと。親権者(民法824条)や後見人(民法859条1項)がこれにあたり、復代理人を自己の責任で選任できます(民法105条)。用語ページを見る →は法律の規定で決まるゆえ、本人が選んだわけではない。「自分で選んだのだから」という理屈が使えぬのじゃな。しかも本人自身が制限行為能力者で、守られるべき立場にある。守りを外す理由が無いのじゃ。

民法13条1項10号との対応

民法13条1項10号は、被保佐人被保佐人ひほさにん事理を弁識する能力が著しく不十分だとして、保佐開始の審判を受けた人(民法12条)。民法13条1項が列挙する重要な行為をするには、保佐人の同意が必要です。用語ページを見る →が「前各号に掲げる行為を制限行為能力者の法定代理人法定代理人ほうていだいりにん本人が選んだのではなく、法律の規定によって代理権を与えられた人のこと。未成年者の親権者や成年後見人がこれにあたります。用語ページを見る →としてすること」に保佐人保佐人ほさにん被保佐人に付される保護者(民法12条)。家庭裁判所が保佐開始の審判をするときに、職権で選任します(民法876条の2第1項)。用語ページを見る →同意同意どうい保護者が、本人のする法律行為をしてよいとあらかじめ認めること。同意を得なければならない行為を同意なくしたときは、その行為を取り消すことができます(民法5条2項・13条4項・17条4項)。用語ページを見る →を要するとしています。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

同じ場面を、別の角度から押さえておるのう。13条1項10号は「するには同意が要る」、102条ただし書は「してしまったら取り消せる余地がある」。入口と出口の両方から手当てしておるわけじゃ。

資格別の演習

行政書士正誤問題AI生成類題

制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。

解答・解説を見る

解答:

正しい記述です。民法102条本文がそのとおり定めています。代理行為の効果は民法99条1項により本人に直接生ずるため、代理人自身を行為能力の制限によって守る必要がないという整理です。

司法書士正誤問題AI生成類題

制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為も、行為能力の制限によっては取り消すことができない。

解答・解説を見る

解答:×

誤りです。民法102条ただし書は、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人法定代理人ほうていだいりにん本人が選んだのではなく、法律の規定によって代理権を与えられた人のこと。未成年者の親権者や成年後見人がこれにあたります。用語ページを見る →としてした行為について「この限りでない」としており、本文の適用がありません。

司法試験正誤問題AI生成類題

民法102条本文により、制限行為能力者が代理人としてした行為は、いかなる理由によっても取り消すことができない。

解答・解説を見る

解答:×

誤りです。民法102条本文が封じているのは「行為能力の制限によっては」取り消せないという範囲にとどまります。詐欺詐欺さぎだまして誤った判断をさせること。詐欺による意思表示は取り消すことができます(民法96条1項)が、その取消しは善意でかつ過失がない第三者に対抗できません(同条3項)。用語ページを見る →強迫強迫きょうはくおびやかして意思表示をさせること。民法96条1項により取り消すことができますが、同条2項・3項は詐欺のみを対象としており、強迫については定めがありません。用語ページを見る →など他の取消原因による取消しまで排除するものではありません。

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