民法第706条・債権
民法第706条:期限前の弁済
弁済期にない債務の弁済として給付をしたときは返還を請求できませんが、錯誤による給付では債権者が得た利益を返還します。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
支払日を勘違いして早く払っちゃった。取り戻せる?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
給付そのものは返らぬ。 民法706条本文じゃ。じゃがただし書に、別の道が用意されておる。
条文
債務者は、弁済期にない債務の弁済として給付をしたときは、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、債務者が錯誤によってその給付をしたときは、債権者は、これによって得た利益を返還しなければならない。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 本文 | 弁済期弁済期債務を履行しなければならない時期のこと。留置権は、債権が弁済期にないときは成立しません(民法295条1項ただし書)。用語ページを見る →にない債務の弁済として給付をしたときは、返還を請求することができない |
| ただし書 | 債務者が**錯誤錯誤意思表示の前提に勘違いがあること。民法95条1項が2種類を挙げ、その錯誤が重要なものであるときに取り消すことができます。用語ページを見る →によって給付をしたときは、債権者はこれによって得た利益を返還** |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
ただし書、「利益」だけなんだ。給付そのものじゃなくて。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこが読みどころじゃ。
債務そのものは存在しておる。 いずれ払うものを、早く払っただけ——給付を返させる理由はない、と読める。
返させるのは「これによって得た利益」——期限まで手元に置けなかったことによる利益、たとえば中間の利息に相当するもの、と読める書きぶりじゃな。
民法136条2項ただし書も、期限の利益期限の利益期限が来るまで履行しなくてよいことによる利益のこと。債務者の利益のために定めたものと推定され(民法136条1項)、放棄もできます(同条2項)。用語ページを見る →の放棄が相手方の利益を害せぬとしておったのう。
705条との違い
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
民法705条は、そもそも債務が存在しない場合じゃ。 知っていたなら返らぬ。
706条は、債務はあるが期限が来ていない場合。 本文は主観を問わぬ——知っていても知らなくても給付は返らぬ、と読める。
錯誤があったときにだけ、利益の返還という調整が入る——そういう構えじゃ。
資格別の演習
債務者は、弁済期にない債務の弁済として給付をしたときは、その給付したものの返還を請求することができない。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法706条本文がそのとおり定めています。
債務者が錯誤によって弁済期前の給付をしたときは、債権者はこれによって得た利益を返還しなければならない。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法706条ただし書がそのとおり定めています。
債務者が錯誤によって弁済期前の給付をしたときは、その給付したものの返還を請求することができる。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。民法706条ただし書が返還を求めうるのは、債権者が「これによって得た利益」です。