民法第88条・総則
民法第88条:天然果実及び法定果実
物が生み出すものを、天然果実と法定果実の2つに分けて定義します。果物や作物だけでなく、賃料のようなお金も「果実」として扱われる点が要です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「果実」って、りんごとかみかんのこと? 法律の話なのに急に果物が出てきた……。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
ふふ、そこが日常語との落とし穴じゃ。民法の「果実」には、家賃や地代のようなお金も入る。物が生み出す実り、と考えるのじゃよ。88条は、それを2種類に分けて定義しておる。
条文の内容
1項:天然果実
物の用法に従い収取する産出物を天然果実とする。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 何によって | 物の用法に従い |
| 何を | 収取する産出物 |
| 呼び名 | 天然果実天然果実物の用法に従い収取する産出物のこと(民法88条1項)。果物や作物のように、物そのものから生まれてくる実りを指します。用語ページを見る → |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「用法に従い」って、その物の使い方どおりに、ってこと?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
条文の言葉としてはそうじゃ。果樹から実を採る、田畑から作物を得る——そうした物本来の使い方から生まれてくるものを指す書き方になっておるのう。
2項:法定果実
物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物を法定果実とする。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 何の対価か | 物の使用の対価 |
| 何を | 受けるべき金銭その他の物 |
| 呼び名 | 法定果実法定果実物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物のこと(民法88条2項)。家賃や地代のようなお金も、民法では「果実」として扱われます。用語ページを見る → |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
家賃が「果実」なんだ! 言われてみれば、部屋を貸して生まれる実りだね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そういうことじゃ。条文は「金銭その他の物」と書いておるゆえ、お金に限られはせぬ。使わせた対価として受けるべきものが、法定果実じゃ。
2つの果実を並べる
| 天然果実天然果実物の用法に従い収取する産出物のこと(民法88条1項)。果物や作物のように、物そのものから生まれてくる実りを指します。用語ページを見る →(1項) | 法定果実法定果実物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物のこと(民法88条2項)。家賃や地代のようなお金も、民法では「果実」として扱われます。用語ページを見る →(2項) | |
|---|---|---|
| 生まれ方 | 物の用法に従い収取する産出物 | 物の使用の対価として受けるべきもの |
| 性質 | 物から直接生じる | 契約関係を通じて生じる |
| 帰属のルール | 民法89条1項(分離する時の権利者) | 民法89条2項(日割計算) |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
違いが分かれば、次の民法89条がすんなり読める。生まれ方が違えば、誰のものになるかの決め方も違う——そういう組み立てじゃからのう。
賃料は法定果実である
判例も、賃料債権を法定果実の枠組みで扱っています。共同相続された不動産から生ずる賃料債権の帰属が争われた最判平成17年9月8日(民集第59巻7号1931頁)は、参照法条に民法88条2項と民法89条2項を挙げています。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
賃料が88条2項の法定果実で、その帰属が89条2項で決まる、という組み合わせなんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そう読める並びじゃな。この判決の中身は民法89条のところで扱うとしよう。ここでは、賃料が法定果実として位置づけられておることを掴んでおけばよい。
果実が問題になる他の条文
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 民法189条1項 | 善意善意ある特定の事情や事実を『知らない』こと。道徳的な善悪とは関係ありません。用語ページを見る →の占有者は、占有物から生ずる果実を取得する |
| 民法575条1項 | まだ引き渡されていない売買の目的物が果実を生じたときは、その果実は売主に帰属する |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
果実を誰が取るかは、あちこちで顔を出す論点じゃ。民法88条が「何が果実か」を決めておるからこそ、これらの条文が働けるのじゃな。
資格別の演習
建物の賃料は、物の使用の対価として受けるべき金銭であり、民法上の法定果実にあたる。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法88条2項は「物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物を法定果実とする」と定めています。最判平成17年9月8日(民集第59巻7号1931頁)も、参照法条に民法88条2項・89条2項を挙げています。
民法上の法定果実は、金銭に限られる。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。民法88条2項は「金銭その他の物」と定めており、金銭に限定していません。
物の用法に従い収取する産出物は天然果実であり、物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物は法定果実である。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法88条1項が天然果実天然果実物の用法に従い収取する産出物のこと(民法88条1項)。果物や作物のように、物そのものから生まれてくる実りを指します。用語ページを見る →を、同条2項が法定果実法定果実物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物のこと(民法88条2項)。家賃や地代のようなお金も、民法では「果実」として扱われます。用語ページを見る →を、それぞれそのとおり定義しています。両者は民法89条で帰属の決め方も分かれます。