民法第111条・総則
民法第111条:代理権の消滅事由
代理権は、本人の死亡、代理人の死亡・破産手続開始の決定・後見開始の審判で消滅します。委任による代理権は、これに加えて委任の終了でも消滅します。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
代理をお願いした人が亡くなったら、代理権はどうなるの? 逆に、本人が亡くなったら?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
民法111条が、その一覧を作っておる。本人の死亡でも代理人の死亡でも、代理権は消滅じゃ。ただし、並んでおる事由が両者で違う。そこがよく問われる。
1項:共通の消滅事由
代理権は、次に掲げる事由によって消滅する。 一 本人の死亡 二 代理人の死亡又は代理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたこと。
| 号 | 誰について | 事由 |
|---|---|---|
| 一号 | 本人 | 死亡 |
| 二号 | 代理人 | 死亡/破産手続開始の決定/後見開始の審判後見開始の審判精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人について、家庭裁判所が後見を開始すると決める裁判(民法7条)。用語ページを見る →を受けたこと |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
本人は「死亡」だけなんだ。代理人のほうが事由が多い。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
よう見比べたのう。そこが最大の見どころじゃ。表にすると、こうなる。
| 事由 | 本人について | 代理人について |
|---|---|---|
| 死亡 | 消滅事由(一号) | 消滅事由(二号) |
| 破産手続開始の決定 | 1項に定めなし | 消滅事由(二号) |
| 後見開始の審判 | 1項に定めなし | 消滅事由(二号) |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
代理人は、本人のために判断し、財産を動かす立場じゃ。その者自身が破産したり、後見が開始したりすれば、任せ続けるわけにはいくまい。一方、本人の側にそうした事情が生じても、代理を続ける必要はむしろ増えることさえある——条文の書き分けは、そう読めるのう。
2項:委任による代理権に固有の事由
委任による代理権は、前項各号に掲げる事由のほか、委任の終了によって消滅する。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 委任による代理権(=任意代理任意代理本人が代理権を与えることによって生じる代理のこと。民法は「委任による代理」と呼び、復代理人の選任を制限しています(民法104条)。用語ページを見る →) |
| 追加の消滅事由 | 委任の終了 |
委任の終了事由は、民法653条が定めています。
委任は、次に掲げる事由によって終了する。 一 委任者又は受任者の死亡 二 委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。 三 受任者が後見開始の審判を受けたこと。
また、民法651条1項は「委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる」と定めています。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
653条2号を見て! 委任者(本人)が破産手続開始の決定を受けたときも、委任は終了するんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
鋭いのう。民法111条1項二号には「本人の破産」は無い。じゃが委任による代理権については、2項が653条を呼び込む形になり、委任の終了を通じて消滅する道がある。
条文をまたいで初めて見える構図じゃ。111条だけを眺めておっては、この関係は掴めぬ。
消滅した後に代理行為がされたら
代理権が消滅した後にその者が代理行為をした場合は、民法112条(代理権消滅後の表見代理等)の場面になります。
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 民法112条1項 | 代理権の消滅の事実を知らなかった第三者に対して責任を負う(過失によって知らなかったときを除く) |
| 民法112条2項 | 消滅した代理権の範囲外の行為には、正当な理由があるときに限り責任を負う |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
111条で「消滅する」と決め、112条で「それでも見た目を信じた者は守る」と続く。条文の並びがそのまま物語になっておるのう。
資格別の演習
代理権は、本人の死亡によって消滅する。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法111条1項1号がそのとおり定めています。
代理人が後見開始の審判を受けたときは、代理権は消滅する。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法111条1項2号は、代理人の死亡、代理人が破産手続開始の決定を受けたこと、後見開始の審判後見開始の審判精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人について、家庭裁判所が後見を開始すると決める裁判(民法7条)。用語ページを見る →を受けたことを消滅事由として挙げています。
民法111条1項は、本人が破産手続開始の決定を受けたことを代理権の消滅事由として定めている。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。民法111条1項1号が本人について挙げているのは「死亡」のみです。破産手続開始の決定と後見開始の審判後見開始の審判精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人について、家庭裁判所が後見を開始すると決める裁判(民法7条)。用語ページを見る →は、同項2号で代理人について挙げられています。もっとも委任による代理権については、同条2項が委任の終了を消滅事由とし、民法653条2号が委任者の破産手続開始の決定を委任の終了事由としています。
委任による代理権は、民法111条1項各号の事由のほか、委任の終了によって消滅する。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法111条2項がそのとおり定めています。委任の終了事由は民法653条が定め、また民法651条1項により各当事者はいつでも委任を解除することができます。