民法第212条・物権
民法第212条:通行権者の償金支払義務
通らせてもらう以上、損害には償金を払います。ただし通路の開設で生じた損害を除き、1年ごとの分割払いができる——短い条文に2つの仕掛けがあります。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
通らせてもらえるのはありがたいけど、タダでいいの? お隣は迷惑してるよね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
よい気配りじゃ。民法212条が償金償金適法な行為によって相手に生じた損害を埋め合わせるために支払う金銭のこと。相隣関係では、隣地の使用や通行を認める代わりに支払われます。用語ページを見る →を定めておる。通行権は無償ではないのじゃよ。
条文の内容
第二百十条の規定による通行権を有する者は、その通行する他の土地の損害に対して償金を支払わなければならない。ただし、通路の開設のために生じた損害に対するものを除き、一年ごとにその償金を支払うことができる。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 誰が | 民法210条の規定による通行権を有する者 |
| 何に対して | その通行する他の土地の損害 |
| 義務 | 償金を支払わなければならない |
そして、ただし書が支払い方について定めます。
| 内容 | |
|---|---|
| 原則 | 1年ごとに支払うことができる |
| 除外 | 通路の開設のために生じた損害に対するもの |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
通路を作ったときの損害だけは、分割にできないんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこが読みどころじゃ。通路の開設(民法211条2項)は一度きりの出来事じゃからのう。毎年少しずつ、という性質になじまぬ。
対して、通行そのものによる損害は、通り続けるかぎり毎年生じ続ける。損害の性質に応じて支払い方を分けておるわけじゃ。条文の短さのわりに、丁寧な作りじゃろう。
民法213条との違い
同じ通行権でも、分割によって袋地が生じた場合には償金が要りません。
| 民法212条(民法210条の通行権) | 民法213条1項(分割による袋地) | |
|---|---|---|
| 通行できる土地 | 囲んでいる他の土地 | 他の分割者の所有地のみ |
| 償金 | 支払う | 支払うことを要しない |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
分割は自分たちの都合で起こしたことじゃからのう。関係のない周りの土地に迷惑をかけるな、というのが213条の構えじゃ。次の記事で詳しく見ようかのう。
資格別の演習
民法210条の規定による通行権を有する者は、その通行する他の土地の損害に対して償金を支払わなければならない。
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解答:◯
正しい記述です。民法212条本文がそのとおり定めています。
民法212条の償金は、通路の開設のために生じた損害に対するものも含め、すべて1年ごとに分割して支払うことができる。
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解答:×
誤りです。同条ただし書は「通路の開設のために生じた損害に対するものを除き、一年ごとにその償金を支払うことができる」としています。
分割によって公道に通じない土地が生じた場合、その土地の所有者が他の分割者の所有地を通行するときは、償金を支払うことを要しない。
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解答:◯
正しい記述です。民法213条1項後段が「この場合においては、償金を支払うことを要しない」と定めています。民法212条の場合との違いに注意してください。