民法第24条・総則
民法第24条:仮住所
ある行為について仮住所を選定すると、その行為に関してだけ仮住所が住所とみなされます。当事者の選択で住所を置き換えられる、住所まわりで唯一の条文です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
住所って、生活の実態で決まるんだよね。じゃあ、自分で「ここを住所ってことにして」とお願いするのは無理なんだ?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
ところが、それができる場面があるのじゃよ。民法24条じゃ。ある行為について仮住所仮住所ある行為について当事者が選定しておく場所。その行為に関してだけ住所とみなされます(民法24条)。用語ページを見る →を選定すれば、その行為に関しては仮住所が住所とみなされる。
条文の内容
ある行為について仮住所を選定したときは、その行為に関しては、その仮住所を住所とみなす。
短い条文ですが、二重の限定がかかっています。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| きっかけ | ある行為について仮住所を選定したこと |
| 効果の範囲 | その行為に関しては |
| 効果 | その仮住所を住所とみなす |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「ある行為について」「その行為に関しては」……同じことを二回言ってない?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこが肝じゃ。前半は選び方の限定、後半は効き方の限定じゃな。行為を特定して選んだのだから、効くのもその行為の範囲だけ——選定した行為の外へははみ出さぬ、と念を押しておるのじゃよ。
「みなす」範囲が限られるということ
民法22条の住所住所その人の生活の本拠のこと(民法22条)。届出や住民票の記載ではなく、実際の暮らしの実態から判断されます。用語ページを見る →や民法23条の居所居所住所が知れない場合に、住所とみなされる場所(民法23条1項)。民法は「居所」そのものの定義を置いていません。用語ページを見る →は、その人について一般に働きます。これに対し、民法24条の仮住所仮住所ある行為について当事者が選定しておく場所。その行為に関してだけ住所とみなされます(民法24条)。用語ページを見る →は行為ごとです。
| 条文 | みなしの及ぶ範囲 |
|---|---|
| 民法23条1項 | 住所が知れない場合に、一般的に居所を住所とみなす |
| 民法23条2項 | 日本に住所を有しない者について、一般的に日本の居所を住所とみなす |
| 民法24条 | 選定した行為に関してのみ、仮住所を住所とみなす |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
たとえば、ある取引についてだけ仮住所を選定したとしよう。その取引に「住所」が関わる場面では仮住所が住所として扱われるが、別の取引や、まったく無関係の場面までは動かぬ。条文が「その行為に関しては」と括っておるからのう。
住所まわりの4か条を並べる
第一編第二章第四節の全体像は、次のとおりです。
| 条文 | 内容 | 決まり方 |
|---|---|---|
| 民法22条 | 生活の本拠を住所とする | 生活の実態で決まる |
| 民法23条1項 | 住所が知れない場合は居所を住所とみなす | 住所が不明という事情で決まる |
| 民法23条2項 | 日本に住所を有しない者は日本の居所を住所とみなす | 日本に住所が無いという事情で決まる |
| 民法24条 | 選定した仮住所を、その行為に関して住所とみなす | 当事者の選択で決まる |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
24条だけ、自分で決められるんだ!
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこが最大の特徴じゃ。住所は本来、自分で名乗って決まるものではない。じゃが、その行為の中でだけなら、当事者の選定に委ねてよい——そう線を引いておるのが民法24条なのじゃよ。
資格別の演習
ある行為について仮住所を選定したときは、その行為に関しては、その仮住所を住所とみなす。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法24条がそのとおり定めています。みなしの効果が及ぶのは、仮住所を選定した「その行為」に関してのみです。
ある行為について仮住所を選定した者は、その後のすべての法律関係において、その仮住所を住所とみなされる。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。民法24条は「その行為に関しては」と範囲を限定しています。選定した行為を離れた場面では、住所は民法22条の原則(生活の本拠)に戻ります。
民法は、住所について、生活の本拠を住所とする原則を定めるほか、居所によるみなしと、選定された仮住所によるみなしを置いている。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法22条が「各人の生活の本拠をその者の住所とする」と原則を定め、民法23条が居所居所住所が知れない場合に、住所とみなされる場所(民法23条1項)。民法は「居所」そのものの定義を置いていません。用語ページを見る →によるみなし(1項・2項)を、民法24条が仮住所仮住所ある行為について当事者が選定しておく場所。その行為に関してだけ住所とみなされます(民法24条)。用語ページを見る →によるみなしを定めています。原則は生活の実態で決まりますが、仮住所だけは当事者の選定によって決まる点が異なります。