刑法第255条・横領の罪
刑法第255条:準用(横領の罪)
244条だけを横領の罪に準用します。3つの規定を準用する251条と並べると、準用の範囲がなぜ違うのかが見えてきます。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
251条は3つ、255条は1つ。ずいぶん違う。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
必要なものだけを借りる——それが準用じゃ。なぜ242条と245条が要らぬのか、考えてみるとよいぞ。
条文の内容
第二百四十四条の規定は、この章の罪について準用する。
準用されるもの
| 条文 | 内容 | 255条での準用 |
|---|---|---|
| 242条 | 他人の占有等に係る自己の財物他人の占有等に係る自己の財物自己の財物であっても、他人が占有し、または公務所の命令により他人が看守するものであるときは、窃盗及び強盗の罪については他人の財物とみなされます(刑法242条)。251条・255条により詐欺・恐喝の罪にも準用されます。用語ページを見る →を他人の財物とみなす | なし |
| 244条 | 親族間の犯罪に関する特例親族間の犯罪に関する特例配偶者、直系血族または同居の親族との間で窃盗罪等を犯した者は、その刑を免除するという規定(刑法244条1項)。いわゆる親族相盗例で、最高裁は内縁の配偶者には適用も類推適用もされないとしました。用語ページを見る → | ◯ |
| 245条 | 電気電気刑法245条は「この章の罪については、電気は、財物とみなす」と定めます。251条・255条により、詐欺及び恐喝の罪・横領の罪にも準用されます。用語ページを見る →を財物とみなす | なし |
なぜ242条が要らないのか
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
横領罪は「自己の占有する他人の物」だから?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そのとおりじゃ。242条は他人が占有する自己の財物を他人の財物とみなす規定。横領罪はもともと占有を前提としており、しかも252条2項が自己の物についての特則を自ら置いておる。借りる必要がないのじゃな。
なぜ245条が要らないのか
245条は電気を財物とみなす規定です。横領罪の客体は「物」であり、「財物」という語を使っていません。条文の言葉が違うため、245条の準用にはなじみません。
| 条文 | 客体の語 |
|---|---|
| 235条・236条 | 財物 |
| 246条・249条 | 財物 |
| 252条・253条・254条 | 物 |
251条と255条の対比
| 条文 | 準用先 | 242条 | 244条 | 245条 |
|---|---|---|---|---|
| 251条 | 詐欺及び恐喝の罪 | ◯ | ◯ | ◯ |
| 255条 | 横領の罪 | — | ◯ | — |
第三十八章を読み終えて
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 252条 | 横領横領自己の占有する他人の物を横領すること(刑法252条1項)。5年以下の拘禁刑で、同条2項は公務所から保管を命ぜられた自己の物を横領した場合を定めます。用語ページを見る → |
| 253条 | 業務上横領業務上横領業務上自己の占有する他人の物を横領すること(刑法253条)。10年以下の拘禁刑で、単純横領罪の2倍の上限が定められています。用語ページを見る → |
| 254条 | 遺失物等横領遺失物等横領遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領すること(刑法254条)。1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金もしくは科料で、横領の罪のなかで最も軽い類型です。用語ページを見る → |
| 255条 | 準用 |
未遂処罰の規定は置かれていません。
資格別の演習
同居の親族との間で業務上横領罪を犯した者は、刑法255条により準用される刑法244条1項によって、その刑を免除される。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。255条は「この章の罪」について244条を準用しています。
刑法255条により、刑法242条も横領の罪に準用される。
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解答:×
誤りです。255条が準用するのは244条のみです。242条・245条を準用するのは251条です。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
次の第三十九章は、盗まれた物のその後を追う章じゃ。