刑法第57条・総則
刑法第57条:再犯加重
再犯の刑は、その罪について定めた拘禁刑の長期の2倍以下とします。動くのは長期だけで、短期は動きません。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
再犯だと、刑が倍になっちゃうの!?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
倍に「なる」のではない。倍まで上げられる枠ができるだけじゃ。しかも動くのは長期だけ。ここを取り違えると計算を誤るぞ。
条文の内容
再犯の刑は、その罪について定めた拘禁刑の長期の二倍以下とする。
動くのは長期だけ
再犯加重再犯加重再犯の刑を、その罪について定めた拘禁刑の長期の2倍以下とすること(刑法57条)。長期だけが動き、短期は動きません。用語ページを見る →は、法定刑の長期を2倍まで引き上げます。短期については条文が何も述べていません。
| 加重前 | 57条による加重後 | |
|---|---|---|
| 長期 | その罪について定めた拘禁刑の長期 | その2倍以下 |
| 短期 | — | 条文に定めなし |
さらに、有期拘禁刑を加重する場合の上限は刑法14条2項により30年です。2倍にした結果がこれを超えることはできません。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「2倍以下」だから、必ず2倍になるわけでもないんだね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そのとおり。加重されるのは処断刑の枠であって、言い渡される刑そのものではない。処断刑処断刑法定刑に、法律上の加重や減軽を加えて作られる、裁判所が刑を選ぶ枠のこと。刑法14条は、この枠を作るときの上限・下限を定めています。用語ページを見る →と宣告刑宣告刑処断刑の枠の中から、裁判所が具体的に言い渡す刑のこと(「拘禁刑2年」など)。執行猶予を付けるかどうかは、この宣告刑を前提に判断されます。用語ページを見る →を区別する練習になるのう。
判例——累犯加重は憲法に違反しない
最判昭和60年6月4日は、刑法56条・57条の規定は憲法14条、39条、31条、32条に違反しないと判示しました。前の罪について二重に処罰するものではない、という理解が前提にあります。
加重減軽の順序の中での位置
同時に刑を加重・減軽するときの順序は、刑法72条が定めています。
| 順序 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 再犯加重 |
| 2 | 法律上の減軽 |
| 3 | 併合罪の加重 |
| 4 | 酌量減軽酌量減軽犯罪の情状に酌量すべきものがあるときに、刑を減軽すること(刑法66条)。法律上刑を加重・減軽する場合でも、さらに行うことができます(67条)。用語ページを見る → |
再犯加重はいちばん最初に行われます。
資格別の演習
再犯の刑は、その罪について定めた拘禁刑の長期の2倍以下とする。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。刑法57条の文言そのものです。短期については定めがありません。
再犯加重により、その罪について定めた拘禁刑の短期も2倍になる。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。刑法57条が定めているのは長期の加重だけです。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
第58条は削除された条文じゃ。次の第59条で、第十章「累犯」は締めくくりとなるぞ。