民法第184条・物権
民法第184条:指図による占有移転
倉庫に預けたままの荷物を売る——本人が代理人に「以後この人のために持て」と命じ、その人が承諾すれば占有権が移ります。3者が登場する引渡しです。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
倉庫に預けてある荷物を売りたいの。でも一度取りに行って、また運んで……って大変!
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
それも要らぬ。民法184条の指図による占有移転指図による占有移転代理人に物を占有させている本人が、以後第三者のために占有するよう命じ、その第三者が承諾することで、第三者が占有権を取得すること(民法184条)。用語ページを見る →を使えばよい。倉庫に「以後この人のために預かってくれ」と伝えるだけじゃ。
条文の内容
代理人によって占有をする場合において、本人がその代理人に対して以後第三者のためにその物を占有することを命じ、その第三者がこれを承諾したときは、その第三者は、占有権を取得する。
登場人物は3人です。
| 役 | 立場 | 何をするか |
|---|---|---|
| 本人 | 譲渡人 | 代理人に「以後第三者のために占有せよ」と命じる |
| 代理人 | 倉庫業者など | 物を持ち続ける(何もしない) |
| 第三者 | 譲受人 | 承諾する → 占有権を取得 |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
代理人(倉庫)の承諾はいらないんだ! 命じられるだけ?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
条文をよう読んだのう。承諾が要求されておるのは「その第三者」だけじゃ。代理人については「命じ」とあるにとどまる。これは条文の文言そのものじゃから、試験でも狙われるぞ。
4つの引渡しのなかでの位置
| 方法 | 条文 | 意思表示が必要な人 |
|---|---|---|
| 現実の引渡し現実の引渡し占有物そのものを実際に相手方へ手渡すこと(民法182条1項)。もっとも分かりやすい引渡しの方法です。用語ページを見る → | 民法182条1項 | (物の授受) |
| 簡易の引渡し簡易の引渡し譲受人がすでに占有物を所持している場合に、当事者の意思表示のみで占有権を譲渡すること(民法182条2項)。物を一度返してもらう手間を省く仕組みです。用語ページを見る → | 民法182条2項 | 当事者双方 |
| 占有改定占有改定代理人が自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示することで、本人が占有権を取得すること(民法183条)。物は動かないまま占有だけが移ります。用語ページを見る → | 民法183条 | 代理人(=譲渡人)の意思表示 |
| 指図による占有移転 | 民法184条 | 本人の指図+第三者の承諾 |
判例:明渡請求に含まれる場合
最判昭和36年2月28日(民集第15巻2号324頁)
判示事項は「賃借人のある建物について買取請求権が行使された場合における建物収去土地明渡を求める相手方の請求」です。裁判要旨は次のとおりです。
土地賃貸人からの建物収去土地明渡の請求において、建物所有者が借地法第一〇条により買取請求権を行使した場合に、その建物に賃借人があるときは、右収去明渡の請求には、建物の指図による占有移転を求める趣旨を包合するものと解すべきである。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
建物に人が住んでいるから、現実には引き渡せない。だから指図による占有移転で……ということ?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
要旨が述べておるのは、その請求に指図による占有移転を求める趣旨が含まれるという点までじゃ。それ以上の一般論を足してはならぬ。ただ、民法184条が使われる場面のイメージはつかめようのう。
資格別の演習
代理人によって占有をする場合、本人が代理人に対して以後第三者のためにその物を占有することを命じ、その第三者が承諾したときは、その第三者は占有権を取得する。
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解答:◯
正しい記述です。民法184条の指図による占有移転です。第三者の承諾が要件とされています。
指図による占有移転が効力を生ずるには、占有代理人の承諾が必要である。
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解答:×
誤りです。民法184条が承諾を要求しているのは「その第三者」であり、代理人については「命じ」と定めるにとどまります。
倉庫業者に寄託中の動産について、寄託者が倉庫業者に対し以後譲受人のために占有することを命じ、譲受人がこれを承諾したときは、譲受人は占有権を取得する。
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解答:◯
正しい記述です。民法184条の要件(本人の指図と第三者の承諾)を満たしています。なお最判昭和57年9月7日(民集第36巻8号1527頁)は、荷渡指図書に基づく寄託者名義の変更により指図による占有移転を受けた場合に民法192条の適用があるとしています。