刑法第64条・総則
刑法第64条:教唆及び幇助の処罰の制限
拘留または科料のみに処すべき罪の教唆者・従犯は、特別の規定がなければ罰しません。軽微な罪について共犯処罰を絞る条文です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
どんなに軽い罪でも、けしかけた人は罰せられるんだよね?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこに歯止めをかけたのが第64条じゃ。いちばん軽い刑だけが定められた罪については、教唆者も従犯も、原則として罰しない。
条文の内容
拘留又は科料のみに処すべき罪の教唆者及び従犯は、特別の規定がなければ、罰しない。
「拘留又は科料のみに処すべき罪」
拘留拘留刑法16条が定める、1日以上30日未満の期間、刑事施設に拘置する刑。刑事訴訟法上の身柄拘束である「勾留」とは別のものです。用語ページを見る →は1日以上30日未満の拘置(刑法16条)、科料科料刑法17条が定める、千円以上1万円未満の財産刑。行政上の制裁である「過料」とは別のもので、区別のため「とがりょう」と読み分けることがあります。用語ページを見る →は千円以上1万円未満(刑法17条)。刑法が定める刑の中でもっとも軽いものです。その刑だけが定められている罪が対象です。
| 関与者 | 原則 | 例外 |
|---|---|---|
| 正犯 | 処罰される | — |
| 教唆犯教唆犯人を教唆して犯罪を実行させた者のこと。刑法61条1項により、正犯の刑が科されます。用語ページを見る → | 罰しない | 特別の規定があるとき |
| 従犯従犯正犯を幇助した者のこと(刑法62条1項)。刑法63条により、その刑は正犯の刑を減軽したものになります。用語ページを見る → | 罰しない | 特別の規定があるとき |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
正犯は罰せられるのに、教唆と幇助だけ外れるんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこが第64条の眼目じゃ。共犯処罰を全面には広げない、という選択をしておる。同じ発想は、刑法20条にも見られるぞ。拘留・科料のみに当たる罪については、特別の規定がなければ没収没収犯罪に関係する物の所有権を国に強制的に移す付加刑(刑法19条)。犯人以外の者に属する物は、その者が犯罪後に事情を知って取得した場合を除き、没収できません。用語ページを見る →も科せぬ、としておるのじゃ。
20条との並び
| 条文 | 拘留・科料のみに当たる(処すべき)罪についての制限 |
|---|---|
| 20条 | 没収を科することができない(19条1項1号の物を除く) |
| 64条 | 教唆者・従犯を罰しない |
いずれも「特別の規定がなければ」という留保がついています。
資格別の演習
拘留または科料のみに処すべき罪の教唆者および従犯は、特別の規定がなければ罰せられない。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。刑法64条の文言そのものです。
拘留または科料のみに処すべき罪については、正犯も罰せられない。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。刑法64条が罰しないとしているのは教唆者と従犯であり、正犯は処罰されます。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
第十一章もあと1条。次の第65条は、共犯論でもっとも入り組んだ「身分」の話じゃぞ。