刑法第47条・総則
刑法第47条:有期拘禁刑の加重
併合罪の2個以上の罪を有期拘禁刑に処するときは、最も重い罪の長期に2分の1を加えます。ただし各罪の長期の合計は超えられません。判例が示した「統一刑」の考え方まで確認します。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
罪の数だけ刑を足していくの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
足し算ではないのじゃ。第47条は「いちばん重い罪の長期を1.5倍にする」という作り方をする。しかも上限がついておる。
条文の内容
| 部分 | 内容 |
|---|---|
| 本文 | 併合罪のうちの2個以上の罪について有期拘禁刑に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその2分の1を加えたものを長期とする |
| ただし書 | それぞれの罪について定めた刑の長期の合計を超えることはできない |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
動くのは「長期」だけ? 短期は?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
条文は長期のことしか言っておらん。短期には触れていない。ここは読み落としやすいので気をつけるのじゃよ。
ただし書の上限
たとえば、長期10年の罪と長期3年の罪が併合罪になったとします。
| 手順 | 計算 |
|---|---|
| 本文 | 最も重い罪の長期10年 + その2分の1(5年)= 15年 |
| ただし書 | 各罪の長期の合計 10年 + 3年 = 13年を超えられない |
| 結論 | 長期は13年 |
軽い罪が小さいときほど、ただし書が効いてきます。
なお有期拘禁刑を加重する場合の上限については、刑法14条2項が「30年」を定めています。
判例——併合罪は「統一刑」で決める
最判平成15年7月10日は、刑法47条について、併合罪を構成する各罪全体に対する統一刑を処断刑として形成し、その範囲内で各罪全体に対する刑を決することとした規定であって、併合罪の構成単位である各罪について個別的な量刑判断を行うことは、法律上予定されていないと判示しました(判決当時の条文は「有期の懲役又は禁錮」。現行法は有期拘禁刑と定めています)。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「この罪で3年、あの罪で5年」と積み上げるんじゃないんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そう。全体で1つの枠をつくり、その中で1つの刑を決める。 だからこそ、前条の第46条のように「他の刑を科さない」という発想も出てくるのじゃ。
資格別の演習
併合罪のうちの2個以上の罪について有期拘禁刑に処するときは、最も重い罪について定めた刑の長期にその2分の1を加えたものを長期とするが、それぞれの罪について定めた刑の長期の合計を超えることはできない。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。刑法47条の本文とただし書のとおりです。
併合罪加重にあたっては、併合罪を構成する各罪について個別に量刑を判断し、それらを合算して刑を決める。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。最判平成15年7月10日は、刑法47条は各罪全体に対する統一刑を処断刑として形成する規定であって、各罪について個別的な量刑判断を行うことは法律上予定されていないとしています。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
「最も重い罪の長期 × 1.5、ただし合計まで」。呪文のように唱えておくとよい。