民法第231条・物権
民法第231条:共有の障壁の高さを増す工事
共有の壁を高くするのに、相手の同意は要りません。ただし壁が耐えられないなら自分の費用で補強を。そして高くした部分は工事をした人の単独所有になります。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
共有の壁を高くしたいの。共有物だから、お隣の同意がいるよね?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
ふつうの共有共有一つの物を複数人で所有すること。各共有者は共有物の全部について、その持分に応じた使用ができます(民法249条1項)。用語ページを見る →ならそうじゃ。民法251条1項が変更行為変更行為共有物にその形状又は効用の著しい変更を伴う行為を加えること。他の共有者全員の同意が必要です(民法251条1項)。用語ページを見る →に全員の同意を求めておる。じゃが民法231条は、その特則として一人でできる道を開いておる。
1項:一人で高さを増せる
相隣者の一人は、共有の障壁の高さを増すことができる。ただし、その障壁がその工事に耐えないときは、自己の費用で、必要な工作を加え、又はその障壁を改築しなければならない。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 誰が | 相隣者の一人 |
| 何を | 共有の障壁障壁隣り合う土地や建物を隔てる壁のこと。境界線上に設けたものは相隣者の共有に属すると推定されます(民法229条)。用語ページを見る →の高さを増す |
| ただし書 | 障壁がその工事に耐えないときは、自己の費用で必要な工作を加え、又は改築する |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
同意なしでいいんだ! 共有なのに。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
条文が「相隣者の一人は……できる」と書いておるからのう。相隣関係相隣関係隣り合う土地の所有者どうしの利害を調整する民法209条〜238条のルール。所有権を互いに少しずつ制限し、また少しずつ広げます。用語ページを見る →の条文には、民法227条にも同じ型があったじゃろう。やりたい者が費用を持つなら、一人でやってよいという考え方じゃ。
2項:増した部分は単独所有
前項の規定により障壁の高さを増したときは、その高さを増した部分は、その工事をした者の単独の所有に属する。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 対象 | その高さを増した部分 |
| 帰属 | その工事をした者の単独の所有 |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
下の共有部分はそのままで、増えた分だけ自分のものになるんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
よい整理じゃ。費用を出した者が所有する——民法227条では費用の増加額だけを負担する形じゃったが、231条2項は所有まで踏み込んでおる。
ここは民法230条2項とも響き合っておるのう。あちらも「低い建物を超える部分」を共有の推定から外しておった。上に伸びた部分は伸ばした者のものという筋が、条文をまたいで通っておる。
損害が生じたとき
民法232条が続きます。
前条の場合において、隣人が損害を受けたときは、その償金を請求することができる。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
一人で工事してよい、増えた部分は自分のもの——そのかわり、隣人に損害が出れば償金償金適法な行為によって相手に生じた損害を埋め合わせるために支払う金銭のこと。相隣関係では、隣地の使用や通行を認める代わりに支払われます。用語ページを見る →じゃ。三つでひとそろいの仕組みじゃな。
資格別の演習
相隣者の一人は、共有の障壁の高さを増すことができる。
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解答:◯
正しい記述です。民法231条1項本文がそのとおり定めています。他の相隣者の同意は要件とされていません。
共有の障壁の高さを増した場合、その高さを増した部分は、その工事をした者の単独の所有に属する。
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解答:◯
正しい記述です。民法231条2項がそのとおり定めています。
共有の障壁がその工事に耐えないときは、必要な工作や改築の費用は相隣者が等しい割合で負担する。
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解答:×
誤りです。民法231条1項ただし書は「自己の費用で、必要な工作を加え、又はその障壁を改築しなければならない」と定めています。