刑法第264条・毀棄及び隠匿の罪
刑法第264条:親告罪(毀棄及び隠匿の罪)
259条・261条・263条を親告罪とする、刑法本則の最終条です。第1条から第264条までの旅の締めくくりになります。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
これが刑法の最後の条文なんだね……。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そうじゃ。第1条の属地主義属地主義犯罪が行われた「場所」を基準に自国の刑法を適用する考え方。刑法1条1項が、日本国内で罪を犯したすべての者に刑法を適用するとしているのがこれにあたります。用語ページを見る →から始まり、ここ第264条で本則が終わる。最後の一文は、告訴についての定めじゃ。
条文の内容
第二百五十九条、第二百六十一条及び前条の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
親告罪親告罪告訴がなければ公訴を提起することができない罪。刑法135条は、秘密を侵す罪(信書開封罪・秘密漏示罪)を親告罪としています。用語ページを見る →となる範囲
| 条文 | 罪 | 親告罪 |
|---|---|---|
| 258条 | 公用文書等毀棄公用文書等毀棄公務所の用に供する文書または電磁的記録を毀棄すること(刑法258条)。3月以上7年以下の拘禁刑で、第四十章のなかで最も重い法定刑です。用語ページを見る → | — |
| 259条 | 私用文書等毀棄私用文書等毀棄権利または義務に関する他人の文書または電磁的記録を毀棄すること(刑法259条)。5年以下の拘禁刑で、264条により親告罪です。用語ページを見る → | ◯ |
| 260条 | 建造物等損壊建造物等損壊他人の建造物または艦船を損壊すること(刑法260条前段)。最高裁は、公衆便所の外壁にラッカースプレーで大書し外観・美観を著しく汚損した行為が同条前段の「損壊」に当たるとしました。用語ページを見る →及び同致死傷 | — |
| 261条 | 器物損壊等器物損壊等258条から260条までに規定するもののほか、他人の物を損壊し、または傷害すること(刑法261条)。動物を対象とする場合を捉える「傷害」の語が置かれています。264条により親告罪です。用語ページを見る → | ◯ |
| 262条 | 自己の物の損壊等 | 準用元による |
| 262条の2 | 境界損壊境界損壊境界標を損壊し、移動し、もしくは除去し、またはその他の方法により土地の境界を認識することができないようにすること(刑法262条の2)。5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。用語ページを見る → | — |
| 263条 | 信書隠匿信書隠匿他人の信書を隠匿すること(刑法263条)。6月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金もしくは科料で、264条により親告罪です。刑法133条の信書開封罪とは章も客体の扱いも異なります。用語ページを見る → | ◯ |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
公務所にかかわる258条と、建造物の260条、境界の262条の2が外れてるんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
みごとな整理じゃ。私的な物にとどまる罪だけを親告罪とし、公にかかわるものは告訴を待たずに訴追できる——そう読める並びじゃな。
刑法の親告罪をすべて並べる
| 条文 | 対象 |
|---|---|
| 刑法135条 | 秘密を侵す罪(133条・134条) |
| 刑法209条2項 | 過失傷害罪 |
| 刑法229条 | 224条とその幇助目的の227条1項 |
| 刑法232条 | 名誉に対する罪(+告訴の代行) |
| 刑法244条2項 | 一定の親族間の窃盗等 |
| 刑法251条・255条 | 244条2項の準用 |
| 刑法264条 | 259条・261条・263条 |
第1条から第264条までを振り返って
| 編 | 内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 第1編 総則 | 適用範囲・刑・未遂・共犯・刑の量定など | 1条〜72条 |
| 第2編 罪 | 内乱から毀棄・隠匿まで40の章 | 73条〜264条 |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
総則で覚えた未遂とか共犯とかが、各論でずっと出てきたね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこが刑法の面白さじゃ。43条の未遂、60条の共犯、38条の故意——総則の道具が、各論の条文を読むたびに顔を出しておったであろう。
そして各論を読み通して分かったことがもう一つある。条文は、必ず理由をもって書かれているということじゃ。列挙の差、ただし書の有無、「できる」か言い切りか、指し先が章か条文か項か——どれ一つ、偶然そうなっているものはない。書いてあることを、書いてあるとおりに読む。それだけで、ずいぶん遠くまで行けるのじゃよ。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
第1条から第264条まで、ぜんぶ読んだんだ!
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
よくぞ最後までついてきたのう。じゃが法律は生きておる。改正されれば条文は変わる。そのときはまた、e-Govの現行法を自分の目で確かめることじゃ。——さて、次はどの法律の旅に出ようかのう。
資格別の演習
信書隠匿罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
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解答:◯
正しい記述です。刑法264条が263条を親告罪としています。
建造物等損壊罪(刑法260条)は親告罪である。
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解答:×
誤りです。刑法264条が挙げるのは259条・261条・263条であり、260条は含まれていません。
刑法264条は、刑法本則の最終条である。
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解答:◯
正しい記述です。刑法(明治40年法律第45号)の本則は第1条から第264条までです。