刑法第110条・放火及び失火の罪
刑法第110条:建造物等以外放火
108条・109条の物以外への放火です。条文が「公共の危険」の発生を正面から要求しており、その意義を示した最高裁判例があります。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
車とか、ゴミとか、そういう物を燃やした場合?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
条文は「前二条に規定する物以外の物」としか書いておらん。何であってもよい。その代わり、公共の危険を生じさせたことを要求しておる。
条文の内容
| 項 | 内容 |
|---|---|
| 1項 | 放火して、前二条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、1年以上10年以下の拘禁刑に処する |
| 2項 | 前項の物が自己の所有に係るときは、1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金に処する |
客体は「それ以外のすべて」
| 条文 | 客体 |
|---|---|
| 108条 | 現住・現在の建造物、汽車、電車、艦船、鉱坑 |
| 109条 | 非現住かつ非現在の建造物、艦船、鉱坑 |
| 110条 | 前二条に規定する物以外の物 |
「よって公共の危険を生じさせた」
109条2項がただし書で公共の危険を求めたのに対し、110条は1項の本文で正面から要求します。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
同じことを書く場所が違うんだね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
条文の構造が違えば、要件の位置づけも変わる。どこに書いてあるかまで見るのが読み方じゃ。
判例——公共の危険公共の危険刑法110条1項などが結果として要求する危険。最高裁は、同項にいう公共の危険は刑法108条・109条1項の建造物等に対する延焼の危険に限られず、不特定または多数の人の生命・身体・これらの建造物等以外の財産に対する危険も含むとしました。用語ページを見る →の意義
最判平成15年4月14日は、刑法110条1項にいう「公共の危険」は、同法108条および109条1項に規定する建造物等に対する延焼の危険に限られるものではなく、不特定または多数の人の生命、身体または前記建造物等以外の財産に対する危険も含まれるとしました。
同判決は、市街地の駐車場において、放火された自動車から付近の2台の自動車に延焼の危険が及んだことなどの事実関係の下で、刑法110条1項にいう「公共の危険」の発生が認められるとしています。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
「建物に燃え移りそうだったか」だけを見るのではない、というのが要点じゃ。財産に対する危険も含む——射程が広いのじゃな。
資格別の演習
刑法110条1項の罪が成立するには、公共の危険が生じたことが必要である。
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解答:◯
正しい記述です。条文は「よって公共の危険を生じさせた者は」と定めています。
刑法110条1項にいう「公共の危険」は、刑法108条・109条1項の建造物等に対する延焼の危険に限られる。
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解答:×
誤りです。最判平成15年4月14日は、不特定または多数の人の生命・身体・これらの建造物等以外の財産に対する危険も含まれるとしました。
市街地の駐車場において放火された自動車から付近の2台の自動車に延焼の危険が及んだことなどをもって、刑法110条1項にいう「公共の危険」の発生が認められた事例がある。
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解答:◯
正しい記述です。最判平成15年4月14日の事案です。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
さて、自己所有物への放火から火が広がったら? その場面を受け止めるのが111条じゃ。