刑法第108条・放火及び失火の罪
刑法第108条:現住建造物等放火
現に人が住居に使用し、または現に人がいる建造物等に放火する罪です。刑法各論のなかでも最も重い法定刑のひとつで、放火罪の体系の頂点に立ちます。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
死刑まであるんだ……。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
火は広がる。中に人がおれば、そのまま人の生命に届く。だから条文は、目的物の性質によって刑を段階分けし、その頂点にこの108条を置いておるのじゃ。
条文の内容
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
要件を分解する
| 要件 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 行為 | 放火放火目的物を焼損させるために火を放つこと。刑法108条以下は、目的物が現住建造物か、非現住建造物か、それ以外かによって刑を段階的に定めています。用語ページを見る →して |
| 客体 | 現に人が住居に使用し、又は現に人がいる建造物・汽車・電車・艦船・鉱坑 |
| 結果 | 焼損焼損放火罪の結果として条文が要求する状態。刑法108条・109条・110条はいずれも目的物を「焼損した」ことを、116条の失火罪も「焼損した」ことを要件としています。用語ページを見る →した |
| 刑 | 死刑または無期もしくは5年以上の拘禁刑 |
客体が2つの型を持つ
現住建造物等現住建造物等現に人が住居に使用し、または現に人がいる建造物・汽車・電車・艦船・鉱坑(刑法108条)。放火の客体のうち最も重く保護されます。用語ページを見る →は、条文上、次のどちらかにあたれば足ります。
| 型 | 条文の言葉 |
|---|---|
| ① 現住性 | 現に人が住居に使用し |
| ② 現在性 | 現に人がいる |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
誰も住んでない建物でも、その時たまたま人がいれば108条になるんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
条文の「又は」がそう読ませる。逆に、住居に使っておるなら、放火の瞬間に誰もおらずとも①で足りるわけじゃ。
客体の列挙
条文は5つを並べます。建造物・汽車・電車・艦船・鉱坑です。
次の109条では汽車・電車が落ちるため、ここでの列挙をそのまま覚えておくと対比が効きます。
未遂・予備
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 112条 | 108条・109条1項の罪の未遂未遂犯罪の実行に着手して、これを遂げないこと(刑法43条本文)。未遂を罰するかどうかは、刑法44条により各本条が定めます。用語ページを見る →は罰する |
| 113条 | 108条・109条1項の罪を犯す目的での予備予備犯罪の実行のための準備行為。刑法78条(内乱予備)や88条(外患予備)のように、条文が定める場合にだけ処罰されます。用語ページを見る →を罰する(情状により免除できる) |
放火罪は、未遂だけでなく予備の段階から処罰される数少ない類型です。
資格別の演習
刑法108条の客体には、建造物のほか、汽車、電車、艦船および鉱坑が含まれる。
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解答:◯
正しい記述です。条文が5つを並べて列挙しています。
現に人が住居に使用している建造物であれば、放火の時点でその中に人がいなくても、刑法108条の客体にあたる。
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解答:◯
正しい記述です。条文は「現に人が住居に使用し又は現に人がいる」と、2つを選択的に定めています。
刑法108条の罪については、未遂だけでなく予備も処罰される。
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解答:◯
正しい記述です。未遂は刑法112条、予備は刑法113条が定めています。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
次の109条は、同じ放火でも人がいない建物の話じゃ。刑がどれだけ下がるか、見比べてみよ。