刑法第231条・名誉に対する罪

刑法第231条:侮辱

事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱する罪です。「事実を摘示しなくても」の一句が、230条との境目を示しています。

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レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

「事実を摘示しなくても」——230条をわざわざ意識した書き方だ。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

そのとおりじゃ。208条が「傷害するに至らなかったとき」と204条を前提にしておったのと同じ作りじゃな。前の条文があってはじめて意味を持つ書き方じゃ。

条文の内容

事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、一年以下の拘禁刑若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

要件を分解する

要件 条文の言葉
確認 事実を摘示しなくても
場面 公然と
行為 人を侮辱した
刑 1年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金、または拘留拘留こうりゅう刑法16条が定める、1日以上30日未満の期間、刑事施設に拘置する刑。刑事訴訟法上の身柄拘束である「勾留」とは別のものです。用語ページを見る →もしくは科料科料かりょう刑法17条が定める、千円以上1万円未満の財産刑。行政上の制裁である「過料」とは別のもので、区別のため「とがりょう」と読み分けることがあります。用語ページを見る →

230条との境目

条文 事実の摘示事実の摘示じじつのてきじ具体的な事実を示すこと。刑法230条1項の名誉毀損罪はこれを要件とし、231条の侮辱罪は「事実を摘示しなくても」成立する点で区別されます。用語ページを見る → 「公然と」 刑
230条1項 必要 必要 3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
231条 不要 必要 1年以下の拘禁刑等

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

どちらも「公然と」は要るんだね。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

そこは共通じゃ。名誉は、人の目に触れてはじめて傷つく——第三十四章はその考えで組まれておるのじゃな。

刑が4段構えの条文

拘禁刑・罰金・拘留・科料の4つが並ぶ条文は、刑法でも数えるほどです。

条文 罪
刑法174条 公然わいせつ公然わいせつこうぜんわいせつ公然とわいせつな行為をすること(刑法174条)。6月以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料です。用語ページを見る →
刑法208条 暴行暴行ぼうこう刑法208条は、暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときを処罰します。傷害の結果が生じれば204条の傷害罪になります。用語ページを見る →
刑法231条 侮辱侮辱ぶじょく事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱すること(刑法231条)。1年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料です。用語ページを見る →

230条の2は適用されない

公共の利害に関する場合の特例公共の利害に関する場合の特例こうきょうのりがいにかんするばあいのとくれい名誉毀損の行為が公共の利害に関する事実に係り、その目的が専ら公益を図ることにあった場合に、真実であることの証明があったときは罰しないという規定(刑法230条の2第1項)。2項・3項は、起訴前の犯罪行為に関する事実と、公務員等に関する事実の特則を置きます。用語ページを見る →(230条の2)は「前条第一項の行為が」と定めており、231条の侮辱罪には及びません。事実を摘示しない以上、真実性の証明という考え方が成り立たないためです。

親告罪

第232条により、この章の罪は親告罪親告罪しんこくざい告訴がなければ公訴を提起することができない罪。刑法135条は、秘密を侵す罪(信書開封罪・秘密漏示罪)を親告罪としています。用語ページを見る →です。

資格別の演習

司法書士正誤問題AI生成類題

侮辱罪は、事実を摘示しなくても成立する。

解答・解説を見る

解答:◯

正しい記述です。刑法231条が明文で定めています。

司法試験正誤問題AI生成類題

侮辱罪についても、刑法230条の2の特例が適用される。

解答・解説を見る

解答:×

誤りです。同条1項は「前条第一項の行為が」と定めており、対象は230条1項の行為に限られます。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

章の締めくくりは232条じゃ。2項に、刑法でもここだけの特別な定めがあるぞ。

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