民法第183条・物権
民法第183条:占有改定
物を一歩も動かさずに占有権を移す「占有改定」。譲渡担保で債務者が使い続けたまま担保に入れられるのは、この条文があるからです。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
お店の商品を担保に入れたいけど、渡してしまったら商売にならないよ……。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこで占有改定占有改定代理人が自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示することで、本人が占有権を取得すること(民法183条)。物は動かないまま占有だけが移ります。用語ページを見る →じゃ。民法183条は、物を一歩も動かさずに占有権だけを移す方法を用意しておる。
条文の内容
代理人が自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示したときは、本人は、これによって占有権を取得する。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 誰が | 代理人(=物を持ち続ける側) |
| 何を | 自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示 |
| 効果 | 本人が占有権を取得する |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「代理人」が物を持っている側で、「本人」が受け取る側……。言葉がややこしい!
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこは条文の言葉に慣れるほかないのう。民法181条の代理占有代理占有他人(占有代理人)に物を所持させることで、本人が占有権を持つこと(民法181条)。賃借人に貸している間も、賃貸人は占有権を失いません。用語ページを見る →を思い出すのじゃ。**物を現に持っておる者が「代理人」**で、その者を通じて占有権を持つのが「本人」。譲渡人が代理人に、譲受人が本人になる、と読めばよい。
民法182条2項との対比
| 簡易の引渡し(民法182条2項) | 占有改定(民法183条) | |
|---|---|---|
| 引渡し前に物を持っている者 | 譲受人 | 譲渡人 |
| 引渡し後に物を持っている者 | 譲受人 | 譲渡人(変わらない) |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
簡易の引渡しは「もう持っておるから渡す手間を省く」、占有改定は「持ったままで渡したことにする」。向きが逆じゃ。ここを取り違える受験生は多いぞ。
判例:占有改定でも第三者に対抗できる
最判昭和30年6月2日(民集第9巻7号855頁)
判示事項は「動産の売渡担保契約と債務者の所有権取得の対抗力の有無」です。裁判要旨は次のとおりです。
債務者が動産を売渡担保に供し引きつづきこれを占有する場合においては、債権者は、契約の成立と同時に、占有改定によりその物の占有権を取得し、その所有権取得をもつて第三者に対抗することができるものと解すべきである。
参照法条は民法178条・181条・183条です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「契約の成立と同時に」占有権を取得するんだ。すごくあっさりしてる……。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
外から見れば、物は債務者の手元にあるままじゃからのう。公示としては弱い。じゃからこそ、動産取引では登記や登録の制度が別に用意されておるものもある。占有改定の便利さと危うさは、裏表なのじゃよ。
資格別の演習
代理人が自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示したときは、本人はこれによって占有権を取得する。
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解答:◯
正しい記述です。民法183条の占有改定です。物の所在は変わらないまま、占有権が本人に移ります。
占有改定によって占有権を取得するには、目的物を一度譲受人に現実に引き渡す必要がある。
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解答:×
誤りです。民法183条は「以後本人のために占有する意思を表示したとき」に本人が占有権を取得すると定めており、現実の引渡しは不要です。物を動かさずに済ませることが、この規定の意義です。
判例によれば、債務者が動産を売渡担保に供し引き続きこれを占有する場合、債権者は契約の成立と同時に占有改定により占有権を取得し、所有権取得をもって第三者に対抗することができる。
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解答:◯
正しい記述です。最判昭和30年6月2日(民集第9巻7号855頁)の裁判要旨がそのとおり述べています。