民法第220条・物権
民法第220条:排水のための低地の通水
浸水を乾かすため、余った水を出すため、高地の所有者は低地に水を通せます。給排水設備の使用をめぐる判例とあわせて読みます。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
民法214条は「自然に流れて来る水は妨げるな」だったよね。じゃあ、こちらから水を出したいときは?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
民法220条が、その場面を限定つきで認めておる。どんな水でもよいわけではないゆえ、条文の列挙をよく見るのじゃ。
条文の内容
高地の所有者は、その高地が浸水した場合にこれを乾かすため、又は自家用若しくは農工業用の余水を排出するため、公の水流又は下水道に至るまで、低地に水を通過させることができる。この場合においては、低地のために損害が最も少ない場所及び方法を選ばなければならない。
通水が認められるのは、次の2つの目的の場合です。
| # | 条文の言葉 |
|---|---|
| ① | その高地が浸水した場合にこれを乾かすため |
| ② | 自家用若しくは農工業用の余水を排出するため |
そして範囲と方法にも限定が置かれています。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| どこまで | 公の水流又は下水道に至るまで |
| 方法 | 低地のために損害が最も少ない場所及び方法を選ぶ |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「損害が最も少ない」——また出てきた!
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
民法209条2項、211条1項、213条の2第2項——そして220条。相隣関係の合言葉じゃな。一方に権利を認めるときは、必ず他方の負担を最小にする。この型さえ掴めば、相隣関係の条文はぐっと読みやすくなるぞ。
判例:他人の給排水設備の使用
最判平成14年10月15日(民集第56巻8号1791頁)
判示事項は「宅地の所有者が他人の設置した給排水設備を当該宅地の給排水のため使用することの可否」です。裁判要旨は次のとおりです。
宅地の所有者は,他の土地を経由しなければ,水道事業者の敷設した配水管から当該宅地に給水を受け,その下水を公流,下水道等まで排出することができない場合において,他人の設置した給排水設備を当該宅地の給排水のため使用することが他の方法に比べて合理的であるときは,その使用により当該給排水設備に予定される効用を著しく害するなどの特段の事情のない限り,当該給排水設備を使用することができる。
参照法条は民法220条・221条です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
他人の設備を使わせてもらえるんだ!
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
要旨は条件を丁寧に並べておる。他の土地を経由しなければ給排水ができないこと、他の方法に比べて合理的であること、そして予定される効用を著しく害するなどの特段の事情がないことじゃ。3つそろって初めて使える。
なおこの判決の後、令和3年の改正で民法213条の2が新設され、継続的給付のための設備設置権・使用権が条文として置かれておる。あわせて読むとよいぞ。
資格別の演習
高地の所有者は、その高地が浸水した場合にこれを乾かすため、公の水流又は下水道に至るまで、低地に水を通過させることができる。
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解答:◯
正しい記述です。民法220条前段がそのとおり定めています。あわせて自家用又は農工業用の余水を排出する場合も認められています。
民法220条により、高地の所有者はいかなる目的の水であっても低地に通過させることができる。
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解答:×
誤りです。条文は「浸水した場合にこれを乾かすため」または「自家用若しくは農工業用の余水を排出するため」と目的を限定しています。
判例によれば、宅地の所有者は、他の土地を経由しなければ給排水ができない場合において、他人の設置した給排水設備を使用することが他の方法に比べて合理的であるときは、その使用により当該設備に予定される効用を著しく害するなどの特段の事情のない限り、当該設備を使用することができる。
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解答:◯
正しい記述です。最判平成14年10月15日(民集第56巻8号1791頁)の裁判要旨がそのとおり述べています。