民法第182条・物権
民法第182条:現実の引渡し及び簡易の引渡し
占有権の譲渡は引渡しによってします。物を実際に手渡す「現実の引渡し」と、すでに相手が持っているときの「簡易の引渡し」——4つの引渡しのうち2つを定めた条文です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
動産の対抗要件は「引渡し引渡し占有を相手方に移すこと。動産に関する物権の譲渡は、引渡しがなければ第三者に対抗できません(民法178条)。民法は4つの方法を用意しています。用語ページを見る →」だったよね(民法178条)。その引渡しって、具体的にはどうやるの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
よい流れじゃ。民法182条から184条までが、その方法を4つ用意しておる。まずは182条の2つからじゃな。
1項:現実の引渡し
占有権の譲渡は、占有物の引渡しによってする。
もっとも素直な形です。物そのものを相手に渡します。これを現実の引渡し現実の引渡し占有物そのものを実際に相手方へ手渡すこと(民法182条1項)。もっとも分かりやすい引渡しの方法です。用語ページを見る →と呼びます。
2項:簡易の引渡し
譲受人又はその代理人が現に占有物を所持する場合には、占有権の譲渡は、当事者の意思表示のみによってすることができる。
| 要件 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 状況 | 譲受人又はその代理人が現に占有物を所持している |
| 方法 | 当事者の意思表示のみ |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
借りていた自転車を、そのまま買い取る場合だ! 一度返してからまた受け取る……なんてしなくていいんだね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そのとおり。無意味な往復を省く仕組みじゃ。これを簡易の引渡し簡易の引渡し譲受人がすでに占有物を所持している場合に、当事者の意思表示のみで占有権を譲渡すること(民法182条2項)。物を一度返してもらう手間を省く仕組みです。用語ページを見る →という。条文が「又はその代理人」まで書いておる点も見落とさぬようにな。譲受人自身でなく、その占有代理人が持っておっても足りる。
4つの引渡しの全体像
| 方法 | 条文 | 誰が物を持っているか(引渡し後) |
|---|---|---|
| 現実の引渡し | 民法182条1項 | 譲受人 |
| 簡易の引渡し | 民法182条2項 | 譲受人(もともと持っていた) |
| 占有改定占有改定代理人が自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示することで、本人が占有権を取得すること(民法183条)。物は動かないまま占有だけが移ります。用語ページを見る → | 民法183条 | 譲渡人(そのまま) |
| 指図による占有移転指図による占有移転代理人に物を占有させている本人が、以後第三者のために占有するよう命じ、その第三者が承諾することで、第三者が占有権を取得すること(民法184条)。用語ページを見る → | 民法184条 | 第三者(そのまま) |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
下の2つは、物がまったく動かぬ引渡しじゃ。それでも民法178条の対抗要件になりうることは、178条の判例のところで見たとおりじゃな。
資格別の演習
譲受人が現に占有物を所持する場合には、占有権の譲渡は当事者の意思表示のみによってすることができる。
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解答:◯
正しい記述です。民法182条2項の簡易の引渡しです。条文は「譲受人又はその代理人が現に占有物を所持する場合」としています。
簡易の引渡しが認められるのは、譲受人本人が現に占有物を所持している場合に限られる。
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解答:×
誤りです。民法182条2項は「譲受人又はその代理人が現に占有物を所持する場合」と定めており、譲受人の占有代理人が所持している場合も含まれます。
民法182条1項は、占有権の譲渡が占有物の引渡しによってされることを定めている。
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解答:◯
正しい記述です。民法182条1項が原則を示し、2項以下(および民法183条・184条)が、物を現実に動かさない引渡しの方法を定めています。