刑法第172条・虚偽告訴の罪
刑法第172条:虚偽告訴等
人に刑事または懲戒の処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴・告発をする罪です。虚偽であることの認識について、未必的な認識で足りるとした判例があります。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
うその告訴で人を犯罪者にしようとする罪だね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そのとおり。3月以上10年以下——偽証罪とまったく同じ重さじゃ。司法の判断を歪めるという点で、条文は両者を同列に置いておる。
条文の内容
人に刑事又は懲戒の処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴、告発その他の申告をした者は、三月以上十年以下の拘禁刑に処する。
要件を分解する
| 要件 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 目的 | 人に刑事又は懲戒の処分を受けさせる目的 |
| 行為 | 虚偽の告訴、告発その他の申告をした |
| 刑 | 3月以上10年以下の拘禁刑 |
条文は「告訴、告発」を例示し、「その他の申告」で受け皿を広げています。
判例——未必的な認識で足りる
最判昭和28年1月23日は、誣告罪が成立するためには、その主観的要件として申告者が申告した事実につき、その虚偽たることを確定的に認識していたことを必要とするものではなく、未必的な認識があれば足りるとしました。
同判決は、犯罪ありと思料して他人を告発した場合でも、告発者において告発した事実の虚偽たることにつき未必的な認識を有し、かつその告発が極めて軽々になされたものであって、その適法性を認めることができない以上、誣告罪の成立を妨げるものではないともしています。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「たぶんうそかも」と思いながら告発したらダメなんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
確定的に知っていなくてもよい——ここが虚偽告訴等虚偽告訴等人に刑事または懲戒の処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴・告発その他の申告をすること(刑法172条)。最高裁は、申告事実が虚偽であることの未必的な認識があれば足りるとしました。用語ページを見る →罪の急所じゃな。刑法38条1項の故意の理解とも結びつく論点じゃぞ。
「刑事又は懲戒の処分」
条文は刑事処分だけでなく、懲戒処分も並べています。170条・173条が「懲戒処分が行われる前」を期限に挙げているのと対応しています。
169条との対比
| 条文 | 罪 | 刑 | 自白の減免 |
|---|---|---|---|
| 刑法169条 | 偽証偽証法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をすること(刑法169条)。3月以上10年以下の拘禁刑です。用語ページを見る → | 3月以上10年以下の拘禁刑 | 170条 |
| 刑法172条 | 虚偽告訴等 | 3月以上10年以下の拘禁刑 | 173条 |
資格別の演習
人に懲戒の処分を受けさせる目的で虚偽の申告をした者も、刑法172条により処罰される。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。条文は「刑事又は懲戒の処分」と並べています。
虚偽告訴罪が成立するには、申告した事実が虚偽であることを確定的に認識していたことが必要である。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。最判昭和28年1月23日は、未必的な認識があれば足りるとしました。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
次の173条は、170条とうりふたつじゃ。並べて確かめよう。