民法第136条・総則
民法第136条:期限の利益及びその放棄
期限は債務者の利益のために定めたものと推定されます。放棄はできますが、それによって相手方の利益を害することはできません。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「来年払えばいい」という約束は、誰の得なんだろう。払う人? 受け取る人?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
民法136条1項が答えておる。債務者の利益のために定めたものと推定する。まずは払う側の得と見ておくのじゃ。ただし「推定」であることを見落とすでないぞ。
1項:債務者の利益と推定する
期限は、債務者の利益のために定めたものと推定する。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 期限期限法律行為の効力や履行を、必ず到来する事実にかからせる定めのこと。成就するか分からない「条件」と区別されます(民法135条以下)。用語ページを見る → |
| 内容 | 債務者の利益のために定めたものと推定する |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「みなす」じゃなくて「推定する」だ!
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
よう見つけたのう。反対の事実が証明されれば覆るのじゃ。期限が債権者の利益のためにも定められておる場面はあり得る。条文はそれを閉ざしておらぬ。
民法32条の2の同時死亡の推定同時死亡の推定数人が死亡し、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときに、同時に死亡したものと推定すること(民法32条の2)。「みなす」ではないため、死亡の前後が証明されればその証明が優先します。用語ページを見る →もそうじゃったな。「推定」と書かれておるところは、必ず覆る道がある——読み分けの基本じゃぞ。
2項:期限の利益の放棄
期限の利益は、放棄することができる。ただし、これによって相手方の利益を害することはできない。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 原則 | 期限の利益期限の利益期限が来るまで履行しなくてよいことによる利益のこと。債務者の利益のために定めたものと推定され(民法136条1項)、放棄もできます(同条2項)。用語ページを見る →は放棄することができる |
| ただし書 | これによって相手方の利益を害することはできない |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
期限より早く払ってもいいってことだよね。でも、それで相手が損することなんてあるの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
条文がただし書を置いておるということは、そういう場面があると見ておるということじゃ。
たとえば利息の付く貸金を考えてみよ。期限まで利息を受け取れると当てにしておった側にとって、早く返されるのは必ずしも得ではない。「早く払うのだから文句はあるまい」とは限らぬのじゃな。
1項と2項のつながり
| 項 | 内容 | 働き |
|---|---|---|
| 1項 | 債務者の利益のためと推定 | 誰の利益かをまず定める |
| 2項 | 放棄できる/相手方の利益を害せない | 利益を持つ側が手放せるが、限界がある |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
1項で「これは債務者のものだ」と定め、2項で「自分のものだから手放してよい」と続く。筋が通っておるじゃろう。そして手放し方には歯止めを置く——民法らしい組み立てじゃ。
民法137条との関係
期限の利益は、放棄によって失われるだけではありません。民法137条は、一定の場合に債務者が期限の利益を主張できなくなると定めています。
| 条文 | 期限の利益がなくなる道筋 |
|---|---|
| 民法136条2項 | 債務者が自ら放棄する |
| 民法137条 | 一定の事由により、債務者が主張できなくなる |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
自分から手放す場合と、取り上げられる場合があるんだね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
うまい言い方じゃ。自発と強制——2つの道があるのじゃな。137条がどういう場合を挙げておるかは、次の解説で見るとしよう。
資格別の演習
期限は、債務者の利益のために定めたものと推定される。
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解答:◯
正しい記述です。民法136条1項がそのとおり定めています。「みなす」ではなく「推定する」であるため、反対の事実が証明されれば覆ります。
期限は、債務者の利益のために定めたものとみなされ、反対の証明は許されない。
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解答:×
誤りです。民法136条1項は「推定する」と定めており、「みなす」とはしていません。推定である以上、反対の事実が証明されればその証明が優先します。
期限の利益は放棄することができるから、債務者は、相手方の利益を害するかどうかにかかわらず、いつでも期限前に弁済することができる。
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解答:×
誤りです。民法136条2項ただし書は「これによって相手方の利益を害することはできない」と定めています。放棄そのものは認められますが、相手方の利益を害することまで許されているわけではありません。