民法第427条・債権
民法第427条:分割債権及び分割債務
数人の債権者・債務者があるとき、別段の意思表示がなければ等しい割合で分かれます。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
3人でお金を借りたら、ひとりで全額返さなきゃいけないの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そうとは限らぬ。民法427条じゃ。それぞれ等しい割合が原則——第三節「多数当事者の債権及び債務」の出発点となる条文じゃぞ。
条文の内容
数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 場面 | 数人の債権者又は債務者がある |
| 前提 | 別段の意思表示がないとき |
| 効果 | それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
分割債権分割債権数人の債権者がある場合に、別段の意思表示がないとき、それぞれ等しい割合で分かれる債権のこと(民法427条)。用語ページを見る →・分割債務分割債務数人の債務者がある場合に、別段の意思表示がないとき、それぞれ等しい割合で分かれる債務のこと(民法427条)。用語ページを見る →が原則なんだね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そのとおりじゃ。分かれるのが原則、連帯は例外——ここを取り違えると、第三節ぜんぶが読めなくなるぞ。
そして「別段の意思表示がないとき」——任意規定任意規定当事者が異なる合意をすればそちらが優先する規定。民法91条にいう「公の秩序に関しない規定」がこれにあたります。用語ページを見る →じゃ。当事者が連帯と定めれば、民法436条の連帯債務連帯債務目的が可分な債務について、法令の規定又は当事者の意思表示により数人が連帯して負担する債務(民法436条)。債権者は一人に全部の履行を請求できます。用語ページを見る →になる。
第三節の見取り図
| 款 | 条文 | 内容 |
|---|---|---|
| 第一款 総則 | 民法427条 | 分割債権・分割債務 |
| 第二款 | 民法428条〜431条 | 不可分債権不可分債権債権の目的がその性質上不可分である場合に数人の債権者があるときの債権(民法428条)。連帯債権の規定が準用されます。用語ページを見る →・不可分債務不可分債務債務の目的がその性質上不可分である場合に数人の債務者があるときの債務(民法430条)。連帯債務の規定が準用されます。用語ページを見る → |
| 第三款 | 民法432条〜435条の2 | 連帯債権連帯債権目的が可分な債権について、法令の規定又は当事者の意思表示により数人が連帯して有する債権(民法432条)。各債権者が全部の履行を請求できます。用語ページを見る → |
| 第四款 | 民法436条〜445条 | 連帯債務連帯債務目的が可分な債務について、法令の規定又は当事者の意思表示により数人が連帯して負担する債務(民法436条)。債権者は一人に全部の履行を請求できます。用語ページを見る → |
| 第五款 | 民法446条〜465条の10 | 保証債務保証債務主たる債務者が債務を履行しないときに、保証人がその履行をする責任を負う債務(民法446条1項)。保証契約は書面でしなければ効力を生じません。用語ページを見る → |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
**427条ただ一条が第一款「総則」**じゃ。原則を一条で示し、残りを例外として並べる——みごとな構えじゃな。
相続と可分債権
最高裁は、共同相続された不動産の賃料債権について次のように判断しました。
相続開始から遺産分割までの間に共同相続に係る不動産から生ずる金銭債権たる賃料債権は,各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得し,その帰属は,後にされた遺産分割の影響を受けない。 (最判平成17年9月8日・民集第59巻7号1931頁)
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
相続分に応じて分かれるんだ。しかも遺産分割で動かない。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
要旨は「分割単独債権として確定的に取得し」と述べ、さらに「後にされた遺産分割の影響を受けない」と言い切っておる。
参照法条に民法427条が挙がっておるとおり、分割の原則が相続の場面でも働いておるという位置づけじゃな。
分割されない場合もある
共同相続された委託者指図型投資信託の受益権につき,相続開始後に元本償還金又は収益分配金が発生し,それが預り金として上記受益権の販売会社における被相続人名義の口座に入金された場合,上記預り金の返還を求める債権は当然に相続分に応じて分割されることはなく,共同相続人の1人は,上記販売会社に対し,自己の相続分に相当する金員の支払を請求することができない。 (最判平成26年12月12日・集民第248号155頁)
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
こっちは分割されないんだ!
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
要旨は「当然に相続分に応じて分割されることはなく」と述べておる。委託者指図型投資信託の受益権から生じた預り金という、限られた場面についての判断じゃな。
金銭債権ならすべて当然に分割される、とは言えぬ——2つの判例を並べると、そのことが見えてくるのう。
資格別の演習
数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者はそれぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う。
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解答:◯
正しい記述です。民法427条がそのとおり定めています。
数人の債務者がある場合には、常に各債務者が全部の履行をする義務を負う。
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解答:×
誤りです。民法427条は、別段の意思表示がないときは「それぞれ等しい割合で……義務を負う」としており、分割債務が原則です。
相続開始から遺産分割までの間に共同相続に係る不動産から生ずる賃料債権は、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得し、その帰属は後にされた遺産分割の影響を受けない。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。最判平成17年9月8日(民集第59巻7号1931頁)の裁判要旨がそのとおり判示しています。
一次情報を確認する
- e-Gov法令検索:民法第427条
- 最判平成17年9月8日(民集 第59巻7号1931頁)(平成16(受)1222)
- 最判平成26年12月12日(集民 第248号155頁)(平成24(受)2675)