民法第351条・物権
民法第351条:物上保証人の求償権
他人の借金のために自分の物を差し出した人は、弁済したり物を失ったりしたとき、債務者に求償できます。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
友だちの借金のために、わたしの時計を質に入れたの。もし友だちが返せなかったら、わたしは丸損?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そうはならぬ。民法351条じゃ。物上保証人物上保証人他人の債務を担保するため自分の財産に担保権を設定した者のこと。債務を弁済し又は質物の所有権を失ったときは、債務者に求償権を有します(民法351条)。用語ページを見る →には**求償権求償権他人のために出捐した者が、その負担すべき者に対して返還を求める権利のこと。物上保証人は、保証債務に関する規定に従い債務者に求償できます(民法351条)。用語ページを見る →**がある。
条文の内容
他人の債務を担保するため質権を設定した者は、その債務を弁済し、又は質権の実行によって質物の所有権を失ったときは、保証債務に関する規定に従い、債務者に対して求償権を有する。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 誰が | 他人の債務を担保するため質権を設定した者 |
| いつ | ① その債務を弁済したとき ② 質権質権債権の担保として債務者又は第三者から受け取った物を占有し、その物について他の債権者に先立って弁済を受ける権利(民法342条)。設定には目的物の引渡しが必要です(民法344条)。用語ページを見る →の実行によって質物質物質権の目的として質権者に引き渡された物のこと。質権者は債権の弁済を受けるまでこれを留置できます(民法347条)。用語ページを見る →の所有権を失ったとき |
| 根拠 | 保証債務に関する規定に従い |
| 効果 | 債務者に対して求償権を有する |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「保証債務に関する規定に従い」。保証人と同じ扱いなんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこが条文の要じゃ。物上保証人は、債務を負っておるわけではない。負っておるのは「自分の物が取られるかもしれぬ」という負担じゃ。
じゃが実際に払ったり物を失ったりすれば、保証人が弁済したのと変わらぬ。だから保証の規定を借りてくるのじゃな。
判例
最判平成2年12月18日(民集第44巻9号1686頁)
判示事項は「物上保証人と求償権の事前行使の可否」です。裁判要旨は次のとおりです。
物上保証人は、被担保債権の弁済期が到来しても、あらかじめ求償権を行使することはできない。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
弁済期弁済期債務を履行しなければならない時期のこと。留置権は、債権が弁済期にないときは成立しません(民法295条1項ただし書)。用語ページを見る →が来ても、まだ求償できないんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
条文をよう見よ。民法351条は「その債務を弁済し、又は……所有権を失ったとき」としておる。現実に出捐するか、物を失うか——それがあって初めて求償権が生じる、と読める。
参照法条に民法460条(保証人の事前求償権)が挙がっておるのも手がかりじゃ。保証人にはある事前求償が、物上保証人にはない——要旨はそう述べておる。
最判昭和42年9月29日(民集第21巻7号2034頁)
判示事項は「物上保証の目的物件の第三取得者が弁済によつて取得する求償権の範囲」です。裁判要旨は次のとおりです。
物上保証の目的物件の第三取得者が自己の出捐をもつて債権者に対し弁済した場合において、右第三取得者が有する求償権の範囲については、物上保証人に対する債務者の委任の有無によつて、民法第四五九条ないし第四六二条の規定が準用される。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
こちらは求償の範囲についてじゃ。委任があったかどうかで、準用される条文が分かれる。民法351条が「保証債務に関する規定に従い」と述べていることの、具体的な中身じゃな。
資格別の演習
他人の債務を担保するため質権を設定した者は、その債務を弁済し、又は質権の実行によって質物の所有権を失ったときは、保証債務に関する規定に従い、債務者に対して求償権を有する。
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解答:◯
正しい記述です。民法351条がそのとおり定めています。
判例によれば、物上保証人は、被担保債権の弁済期が到来したときは、あらかじめ求償権を行使することができる。
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解答:×
誤りです。最判平成2年12月18日(民集第44巻9号1686頁)の裁判要旨は「あらかじめ求償権を行使することはできない」としています。
判例によれば、物上保証の目的物件の第三取得者が自己の出捐をもって債権者に弁済した場合の求償権の範囲については、物上保証人に対する債務者の委任の有無によって、民法459条ないし462条の規定が準用される。
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解答:◯
正しい記述です。最判昭和42年9月29日(民集第21巻7号2034頁)の裁判要旨がそのとおり述べています。