民法第144条・総則
民法第144条:時効の効力
時効の効力は、その起算日にさかのぼります。長い年月の経過が、はじめの時点まで巻き戻って効くことを示す一文です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
20年間ずっと使っていた土地が自分のものになるって、いつから自分のものだったことになるの? 20年経った日から?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
違うのじゃ。民法144条は「時効の効力は、その起算日にさかのぼる」と定めておる。占有を始めた日から自分のものだったことになる。ここから第七章「時効」が始まるぞ。
条文の内容
時効の効力は、その起算日にさかのぼる。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 時効時効一定の事実状態が続いたことに法律上の効果を認める制度。権利を得る取得時効と、権利が消える消滅時効があり、効力は起算日にさかのぼります(民法144条)。用語ページを見る →の効力 |
| 効果 | その起算日にさかのぼる |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
さかのぼると、どうしていいことがあるの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
取得時効取得時効一定期間の占有や権利の行使によって、その権利を取得する時効のこと(民法162条・163条)。所有権なら20年、占有開始時に善意無過失なら10年です。用語ページを見る →で考えてみよ。20年間、土地を使い、実りを収め、人に貸したりもしたじゃろう。起算日にさかのぼらねば、その20年分がすべて他人の物を使っていたことになってしまう。
さかのぼるからこそ、その間のことも自分の物についての話として扱える。過去を清算せずに済ませる——それが遡及効の値打ちじゃな。
取得時効と消滅時効
第七章は、2つの時効を扱います。
| 取得時効取得時効一定期間の占有や権利の行使によって、その権利を取得する時効のこと(民法162条・163条)。所有権なら20年、占有開始時に善意無過失なら10年です。用語ページを見る →(第二節) | 消滅時効消滅時効権利を行使しないまま一定期間が過ぎることで、その権利が消滅する時効のこと。債権は知った時から5年、行使できる時から10年です(民法166条1項)。用語ページを見る →(第三節) | |
|---|---|---|
| 働き | 権利を取得する | 権利が消滅する |
| 主な条文 | 民法162条・163条 | 民法166条〜169条 |
| 起算日 | 占有・行使を始めた時 | 権利を行使することができる時など |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
民法144条は「時効の効力は」と書くだけで、どちらの時効かを区別しておらぬ。両方に共通する原則として、第一節の冒頭に置かれておるのじゃ。
第七章第一節「総則」の見取り図
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 民法144条 | 時効の効力(起算日への遡及) |
| 民法145条 | 時効の援用援用時効による利益を受けると主張すること。当事者が援用しなければ、裁判所は時効によって裁判をすることができません(民法145条)。用語ページを見る → |
| 民法146条 | 時効の利益の放棄 |
| 民法147条〜152条 | 完成猶予完成猶予一定の事由がある間、時効が完成しないこと(民法147条以下)。それまで経過した期間はそのまま残る点で、振り出しに戻る更新と異なります。用語ページを見る →及び更新更新時効が新たにその進行を始めること(民法147条2項・148条2項・152条1項)。それまで経過した期間はリセットされます。用語ページを見る → |
| 民法153条・154条 | 効力が及ぶ者の範囲、手続の通知 |
| 民法158条〜161条 | 特別の事情による完成猶予 |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
完成猶予とか更新とか、聞き慣れない言葉が並んでる……。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
完成猶予完成猶予一定の事由がある間、時効が完成しないこと(民法147条以下)。それまで経過した期間はそのまま残る点で、振り出しに戻る更新と異なります。用語ページを見る →は「時効が完成しない」、更新更新時効が新たにその進行を始めること(民法147条2項・148条2項・152条1項)。それまで経過した期間はリセットされます。用語ページを見る →は「新たに進行を始める」じゃ。条文の文言そのままでな。147条以下を読むときは、その2語がどちらの意味で使われておるかを見分けるのが肝じゃぞ。
資格別の演習
時効の効力は、その起算日にさかのぼる。
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解答:◯
正しい記述です。民法144条がそのとおり定めています。時効が完成した時からではなく、起算日にさかのぼって効力が生じます。
時効の効力は、時効が完成した時から将来に向かって生ずる。
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解答:×
誤りです。民法144条は「時効の効力は、その起算日にさかのぼる」と定めています。将来に向かってのみ効力を生ずるものではありません。
民法144条は、取得時効と消滅時効のいずれについても適用される。
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解答:◯
正しい記述です。民法144条は「時効の効力は」と定めるのみで、取得時効取得時効一定期間の占有や権利の行使によって、その権利を取得する時効のこと(民法162条・163条)。所有権なら20年、占有開始時に善意無過失なら10年です。用語ページを見る →と消滅時効消滅時効権利を行使しないまま一定期間が過ぎることで、その権利が消滅する時効のこと。債権は知った時から5年、行使できる時から10年です(民法166条1項)。用語ページを見る →を区別していません。第七章第一節「総則」に置かれた、両者に共通する規定です。