民法第86条・総則
民法第86条:不動産及び動産
土地及びその定着物を不動産とし、それ以外の物をすべて動産とする、二分法の条文です。対抗要件や取得のルールが分かれる出発点になります。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
不動産と動産って、値段が高いか安いかで分かれるの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
値段は関係ないのじゃ。民法86条を読んでみるがよい。基準はただひとつ、土地及びその定着物かどうかじゃ。高価な宝石も、条文の上では動産動産不動産以外の物のこと(民法86条2項)。条文が「すべて」としているため、有体物は不動産か動産のいずれかに必ず分類されます。用語ページを見る →じゃよ。
条文の内容
1項:不動産
土地及びその定着物は、不動産とする。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 不動産不動産土地及びその定着物のこと(民法86条1項)。価値の高低ではなく、土地に定着しているかどうかで動産と区別されます。用語ページを見る →とされるもの | 土地及びその定着物 |
2項:動産
不動産以外の物は、すべて動産とする。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 動産動産不動産以外の物のこと(民法86条2項)。条文が「すべて」としているため、有体物は不動産か動産のいずれかに必ず分類されます。用語ページを見る →とされるもの | 不動産以外の物は、すべて |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
2項が「すべて」って言い切ってるのが潔いね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこがこの条文の要じゃ。取りこぼしを作らぬ書き方でな。民法85条が「物とは有体物」と決め、86条が有体物をふたつに割り切る。宙に浮く物は無い、という構えじゃ。
「定着物」という言葉
1項は「土地及びその定着物」としています。土地だけでなく、そこに定着した物も不動産に含めるという書き方です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
建物は不動産だよね? 条文に「建物」って書いてないけど……。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
民法86条1項の文言に「建物」の語は無い。じゃが民法は他の条文で、建物を土地とは別に扱っておるぞ。たとえば民法370条は「抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産に付加して一体となっている物に及ぶ」と書いておる。土地と建物を別々の不動産として扱う前提が、ここに表れておるのじゃな。
なお、条文は「定着物」の意義を定義していません。何が定着物にあたるかまでは、この条文からは直ちに定まりません。
区別が効いてくる場面
不動産か動産かで、民法の扱いは大きく分かれます。
| 場面 | 不動産 | 動産 |
|---|---|---|
| 対抗要件 | 登記登記不動産の権利関係を法務局の登記簿に記録して公示する制度。不動産の物権変動は、登記をしないと第三者に主張できません。用語ページを見る →(民法177条) | 引渡し(民法178条) |
| 担保 | 占有を移転しないで担保に供せる=抵当権(民法369条1項) | 動産質権者は継続して質物を占有しなければ対抗できない(民法352条) |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
対抗要件対抗要件当事者間で成立した権利関係を、第三者に対して『自分が権利者だ』と主張するために必要な要件(不動産における登記など)。用語ページを見る →が分かれておるのが一番大きいのう。土地は動かせぬから、登記簿という帳簿で公示できる。じゃが動産は動くゆえ、帳簿では追いきれぬ。物の性質の違いが、そのまま制度の違いになっておるのじゃ。
第四章の中での位置
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 民法85条 | 物とは有体物をいう |
| 民法86条 | 土地及びその定着物は不動産、それ以外はすべて動産 |
| 民法87条 | 主物と従物 |
| 民法88条・89条 | 果実の定義と帰属 |
資格別の演習
土地及びその定着物は不動産であり、不動産以外の物はすべて動産である。
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解答:◯
正しい記述です。民法86条1項・2項がそのとおり定めています。2項が「すべて」としているため、有体物は必ずいずれかに分類されます。
高価な貴金属や宝石は、その価値の高さから、民法上は不動産として扱われる。
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解答:×
誤りです。民法86条の区別の基準は価値ではなく、土地及びその定着物にあたるかどうかです。土地及びその定着物以外の物は、同条2項によりすべて動産動産不動産以外の物のこと(民法86条2項)。条文が「すべて」としているため、有体物は不動産か動産のいずれかに必ず分類されます。用語ページを見る →となります。
民法86条1項は、不動産にあたるものとして、土地、その定着物及び建物の3つを列挙している。
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解答:×
誤りです。民法86条1項が挙げているのは「土地及びその定着物」であり、「建物」の語は同項の文言にありません。もっとも民法370条が「抵当地の上に存する建物を除き」と定めるなど、民法は土地と建物を別個の不動産として扱う前提に立っています。