民法第17条・総則

民法第17条:補助人の同意を要する旨の審判等

補助人の同意権は、特定の法律行為について審判で定めてはじめて生じます。その対象は民法13条1項の行為の一部に限られ、本人以外の請求によるときは本人の同意も必要です。

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レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

保佐は13条1項に10個並んでたよね。補助は……あれ、リストがない?

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

そう、補助には最初からのリストがないのじゃ。民法17条1項の審判で、その人に必要な行為だけを選んで決める。オーダーメイドの制度、と言うたらよいかのう。

条文の内容

1項:同意を要する旨の審判

家庭裁判所は、第十五条第一項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求により、被補助人が特定の法律行為をするにはその補助人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、その審判によりその同意を得なければならないものとすることができる行為は、第十三条第一項に規定する行為の一部に限る。

要素 内容
請求権者 民法15条1項本文に規定する者、補助人補助人ほじょにん被補助人に付される保護者(民法16条)。家庭裁判所が補助開始の審判をするときに、職権で選任します(民法876条の7第1項)。用語ページを見る →、補助監督人
対象 被補助人被補助人ひほじょにん事理を弁識する能力が不十分だとして、補助開始の審判を受けた人(民法16条)。同意が必要になるのは、審判で個別に定められた特定の法律行為だけです。用語ページを見る →特定の法律行為をすること
効果 その行為には補助人補助人ほじょにん被補助人に付される保護者(民法16条)。家庭裁判所が補助開始の審判をするときに、職権で選任します(民法876条の7第1項)。用語ページを見る →同意同意どうい保護者が、本人のする法律行為をしてよいとあらかじめ認めること。同意を得なければならない行為を同意なくしたときは、その行為を取り消すことができます(民法5条2項・13条4項・17条4項)。用語ページを見る →を要する
ただし書 対象にできるのは民法13条1項に規定する行為の一部に限る

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

「一部に限る」ってことは、13条1項の10個ぜんぶを対象にはできないの?

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

条文はそう読める書き方をしておるのう。補助は保佐より軽い制度じゃ。それが保佐と同じ範囲まで縛れてしまっては、制度を分けた意味がなくなってしまうからのう。

2項:本人以外の請求には本人の同意

本人以外の者の請求により前項の審判をするには、本人の同意がなければならない。

民法15条2項(補助開始の審判補助開始の審判ほじょかいしのしんぱん精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である人について、家庭裁判所が補助を開始すると決める裁判(民法15条1項)。用語ページを見る →そのもの)と同じ要件が、ここにも置かれています。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

補助では本人の同意という関門が二重にある。開始そのものに1つ(民法15条2項)、同意を要する行為を決めるのにもう1つ(民法17条2項)。しかも民法876条の9第2項が民法876条の4第2項を準用するので、代理権を与えるにも本人の同意が要るのじゃ。

3項:同意に代わる許可

補助人の同意を得なければならない行為について、補助人が被補助人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被補助人の請求により、補助人の同意に代わる許可を与えることができる。

保佐の民法13条3項と同じ形です。請求できるのは被補助人被補助人ひほじょにん事理を弁識する能力が不十分だとして、補助開始の審判を受けた人(民法16条)。同意が必要になるのは、審判で個別に定められた特定の法律行為だけです。用語ページを見る →自身です。

4項:取消し

補助人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。

こちらも保佐の民法13条4項と同じ形です。

保佐と補助を条項ごとに見比べる

保佐(民法13条) 補助(民法17条)
同意を要する行為 1項が10号を列挙(当然に及ぶ) 1項の審判で特定の法律行為を定める
その範囲の上限 ——(2項の審判で追加もできる) 民法13条1項に規定する行為の一部に限る(1項ただし書)
本人の同意 不要 本人以外の請求によるときは必要(2項)
日常生活に関する行為 1項ただし書・2項ただし書で除外 条文上の明記なし
同意に代わる許可 3項 3項(同じ形)
取消し 4項 4項(同じ形)

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

保佐は「引き算」で、補助は「足し算」なんだ!

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

うまいことを言うのう。保佐は最初から10個あって、そこに足したり(民法13条2項)減らしたり(民法14条2項)する。補助はゼロから、必要な分だけ足していく。出発点が違うのじゃ。

「制限行為能力者」に入る被補助人・入らない被補助人

民法13条1項10号の括弧書きは、制限行為能力者制限行為能力者せいげんこういのうりょくしゃ未成年者・成年被後見人・被保佐人・民法17条1項の審判を受けた被補助人の4者をまとめた呼び名(民法13条1項10号)。用語ページを見る →を次のように定義しています。

制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第十七条第一項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)

被補助人被補助人ひほじょにん事理を弁識する能力が不十分だとして、補助開始の審判を受けた人(民法16条)。同意が必要になるのは、審判で個別に定められた特定の法律行為だけです。用語ページを見る →だけは「民法17条1項の審判を受けた」という限定が付いています。

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

代理権を与える審判(民法876条の9第1項)だけを受けた被補助人は、入らないってこと?

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

条文の書きぶりからは、そう読める。同意を要する旨の審判を受けていない被補助人には、取り消せる行為がないからのう。取り消される心配のない者を「行為能力を制限された者」と呼ぶ必要はない、というわけじゃ。

この限定は、民法20条4項にも現れます。同項は、制限行為能力者制限行為能力者せいげんこういのうりょくしゃ未成年者・成年被後見人・被保佐人・民法17条1項の審判を受けた被補助人の4者をまとめた呼び名(民法13条1項10号)。用語ページを見る →の相手方が催告できる相手として「被保佐人又は第十七条第一項の審判を受けた被補助人」と書き分けています。

資格別の演習

行政書士正誤問題AI生成類題

家庭裁判所が補助人の同意を得なければならない旨の審判により対象とすることができる行為は、民法13条1項に規定する行為の一部に限られる。

解答・解説を見る

解答:

正しい記述です。民法17条1項ただし書がそのとおり定めています。保佐人保佐人ほさにん被保佐人に付される保護者(民法12条)。家庭裁判所が保佐開始の審判をするときに、職権で選任します(民法876条の2第1項)。用語ページを見る →の同意を要する行為(民法13条1項の10号)が上限であり、補助はその内側でしか同意権を設定できません。

司法書士正誤問題AI生成類題

補助人の同意を得なければならない旨の審判は、本人以外の者の請求によってする場合であっても、本人の同意を要しない。

解答・解説を見る

解答:×

誤りです。民法17条2項は「本人以外の者の請求により前項の審判をするには、本人の同意がなければならない」と定めています。補助開始の審判補助開始の審判ほじょかいしのしんぱん精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である人について、家庭裁判所が補助を開始すると決める裁判(民法15条1項)。用語ページを見る →そのものについて定めた民法15条2項と同じ要件です。

司法試験正誤問題AI生成類題

補助開始の審判を受けた者は、その内容を問わず、すべて民法13条1項10号にいう制限行為能力者にあたる。

解答・解説を見る

解答:×

誤りです。民法13条1項10号の括弧書きは、制限行為能力者を「未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第十七条第一項の審判を受けた被補助人」と定義しており、被補助人については民法17条1項の審判を受けた者に限定しています。同じ限定は民法20条4項にも置かれています。

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