民法第27条・総則
民法第27条:管理人の職務
家庭裁判所が選任した管理人は、財産目録を作らなければなりません。本人が置いた管理人にも、生死不明なら目録作成を命じられます。財産を守る仕事の出発点を定めた条文です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
管理人に選ばれたら、まず何をするの? いきなり家の修理とか?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
その前にやることがある。何がどれだけあるのかを数えることじゃ。民法27条1項は、管理すべき財産の目録を作れと命じておる。守るべきものの姿が見えねば、守りようがないからのう。
条文の内容
1項:財産目録の作成
前二条の規定により家庭裁判所が選任した管理人は、その管理すべき財産の目録を作成しなければならない。この場合において、その費用は、不在者の財産の中から支弁する。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 前二条(民法25条・26条)により家庭裁判所家庭裁判所家庭に関する事件などを扱う裁判所。後見・保佐・補助を開始する審判と、その取消しの審判はここが行います。用語ページを見る →が選任した管理人 |
| 義務 | その管理すべき財産の目録を作成しなければならない |
| 費用 | 不在者不在者従来の住所又は居所を去った者のこと(民法25条1項)。生死が明らかでないことまでは、この語の要件になっていません。用語ページを見る →の財産の中から支弁する |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
費用は不在者の財産から出るんだ。管理人の持ち出しじゃないんだね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
当然じゃろう。他人の財産を守るために働いておるのに、費用まで背負わせては引き受け手がおらんようになる。民法29条2項が報酬まで用意しておるのも、同じ考えじゃ。
2項:本人が置いた管理人にも命じられる
不在者の生死が明らかでない場合において、利害関係人又は検察官の請求があるときは、家庭裁判所は、不在者が置いた管理人にも、前項の目録の作成を命ずることができる。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 前提 | 不在者の生死が明らかでないこと |
| きっかけ | 利害関係人利害関係人その処分がされるかどうかによって、自分の法律上の立場が左右される人。民法25条や30条で、家庭裁判所へ請求できる者として挙げられています。用語ページを見る →又は検察官の請求があること |
| 対象 | 不在者が置いた管理人 |
| 効果 | 家庭裁判所は、目録の作成を命ずることができる |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
1項は裁判所が選んだ管理人の義務、2項は本人が選んだ管理人への命令じゃ。同じ目録でも、そこへ至る道筋が違う。ここでも「生死が明らかでない」が鍵になっておるのう。
3項:保存に必要と認める処分
前二項に定めるもののほか、家庭裁判所は、管理人に対し、不在者の財産の保存に必要と認める処分を命ずることができる。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
こっちは目録に限らないんだね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そうじゃ。「前二項に定めるもののほか」とあるとおり、受け皿の規定じゃな。財産の姿は事案ごとに違う。何が要るかを条文で数え上げるのは無理じゃから、保存に必要と認める処分という広い言い方にしてある。
なお3項は、対象を「管理人」とだけ書いており、裁判所が選任した管理人か本人が置いた管理人かを区別していません。また、2項と違って生死が明らかでないことも要件とされていません。
3つの項を並べる
| 項 | 対象となる管理人 | 生死不明が要件か | 請求が要るか | 内容 |
|---|---|---|---|---|
| 1項 | 家庭裁判所が選任した管理人 | 要件でない | 不要(当然の義務) | 財産目録の作成 |
| 2項 | 不在者が置いた管理人 | 要件 | 必要 | 財産目録の作成命令 |
| 3項 | 管理人(区別なし) | 要件でない | 条文に定めなし | 保存に必要と認める処分 |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
裁判所が自分で選んだ管理人には、放っておいても目録を作る義務がある。じゃが本人が選んだ管理人は、本人との関係で動いておる者じゃ。そこへ裁判所が割って入るには、生死不明という事情と請求という二つの鍵が要る——そういう仕分けじゃな。
相続の場面にも準用される
民法953条は、相続人のあることが明らかでない場合の相続財産の清算人について、民法27条から29条までを準用しています。目録の作成、権限を超える行為の許可、担保と報酬——この3か条がひとまとまりで働くことになります。
資格別の演習
民法25条又は26条の規定により家庭裁判所が選任した管理人は、その管理すべき財産の目録を作成しなければならず、その費用は不在者の財産の中から支弁する。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法27条1項がそのとおり定めています。目録作成は裁判所が選任した管理人の義務であり、費用は不在者不在者従来の住所又は居所を去った者のこと(民法25条1項)。生死が明らかでないことまでは、この語の要件になっていません。用語ページを見る →の財産から支出されます。
家庭裁判所は、不在者が置いた管理人に対しては、財産目録の作成を命ずることができない。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。民法27条2項は、不在者の生死が明らかでない場合において利害関係人利害関係人その処分がされるかどうかによって、自分の法律上の立場が左右される人。民法25条や30条で、家庭裁判所へ請求できる者として挙げられています。用語ページを見る →又は検察官の請求があるときは、不在者が置いた管理人にも目録の作成を命ずることができると定めています。
家庭裁判所は、財産目録の作成のほか、管理人に対し、不在者の財産の保存に必要と認める処分を命ずることができる。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法27条3項が「前二項に定めるもののほか」として、保存に必要と認める処分を命ずる権限を家庭裁判所に与えています。1項・2項が目録に限られるのに対し、3項は内容を限定していません。