民法第463条・債権
民法第463条:通知を怠った保証人の求償の制限等
事前通知を怠った保証人には主たる債務者が抗弁を対抗でき、事後通知を怠ると二重弁済が有効とみなされます。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
保証人が黙って払っちゃったら、何か困ることあるの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
大ありじゃ。民法463条は通知を怠った者に不利益を負わせる条文でな。払う前の通知と払った後の通知——二つの通知があるのじゃぞ。
1項:事前の通知を怠った場合
保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者にあらかじめ通知しないで債務の消滅行為をしたときは、主たる債務者は、債権者に対抗することができた事由をもってその保証人に対抗することができる。この場合において、相殺をもってその保証人に対抗したときは、その保証人は、債権者に対し、相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 場面 | 委託を受けた保証人保証人主たる債務者が債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う者(民法446条1項)。用語ページを見る →が、あらかじめ通知しないで債務の消滅行為債務の消滅行為弁済その他自己の財産をもって債務を消滅させる行為のこと(民法459条1項のかっこ書きによる定義)。用語ページを見る →をした |
| 効果 | 主たる債務者主たる債務者保証の対象となる債務(主たる債務)を負う者のこと。保証人はその履行を担保します(民法446条1項)。用語ページを見る →は、債権者に対抗することができた事由をもって保証人に対抗できる |
| 相殺相殺互いに同種の債務を負う者の一方の意思表示により、対当額で双方の債務を消滅させること(民法505条)。用語ページを見る →の場合 | 保証人は債権者に対し、相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求できる |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
主たる債務者が「実は相殺できたのに」って言えるんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そのとおりじゃ。ひと言聞いてくれれば防げた損は、聞かなかった側が負えという筋じゃな。
ただし保証人も救われる。相殺で消えるはずだった債務を、債権者に請求できる——条文がそう書いておる。債権者が丸儲けにならぬようになっておるのじゃ。
2項:主たる債務者が事後通知を怠った場合
保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者が債務の消滅行為をしたことを保証人に通知することを怠ったため、その保証人が善意で債務の消滅行為をしたときは、その保証人は、その債務の消滅行為を有効であったものとみなすことができる。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 場面 | 主たる債務者が消滅行為をしたのに保証人への通知を怠った |
| 保証人 | それを知らず(善意で)消滅行為をした |
| 効果 | 保証人は自分の消滅行為を有効であったものとみなすことができる |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
もう払い終わってるのに、保証人がもう一度払っちゃった場合だ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
うむ。本来なら後から払った方は無駄じゃ。債務はもう消えておるからのう。
じゃが通知を怠った主たる債務者が悪い。だから保証人の側が「有効だった」と主張できる——みなすことができるという言い回しに注目せよ。義務ではなく、選択できるのじゃ。
3項:保証人が事後通知を怠った場合
保証人が債務の消滅行為をした後に主たる債務者が債務の消滅行為をした場合においては、保証人が主たる債務者の意思に反して保証をしたときのほか、保証人が債務の消滅行為をしたことを主たる債務者に通知することを怠ったため、主たる債務者が善意で債務の消滅行為をしたときも、主たる債務者は、その債務の消滅行為を有効であったものとみなすことができる。
| 場面 | 主たる債務者が「有効」とみなせる |
|---|---|
| 保証人が主たる債務者の意思に反して保証をしたとき | ◯ |
| 保証人が事後通知を怠ったため主たる債務者が善意で消滅行為をしたとき | ◯ |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
2項の逆バージョンだね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そのとおりじゃ。先に払った方が通知を怠れば、後から払った方が守られる。
そして3項にはもうひとつの入口がある。「保証人が主たる債務者の意思に反して保証をしたとき」——これは通知の有無を問わぬ。意思に反する保証人は、そもそも弱い立場なのじゃな。民法462条2項と同じ思想じゃ。
通知の整理
| 通知 | 誰が誰に | 怠るとどうなる |
|---|---|---|
| 事前通知(1項) | 保証人 → 主たる債務者 | 主たる債務者の抗弁を対抗される |
| 事後通知(2項) | 主たる債務者 → 保証人 | 保証人が自分の弁済を有効とみなせる |
| 事後通知(3項) | 保証人 → 主たる債務者 | 主たる債務者が自分の弁済を有効とみなせる |
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
1項・3項は保証人の義務、2項は主たる債務者の義務じゃ。
そして1項と3項の主語は「委託を受けて保証をした場合」で始まるのが1項だけ——3項は委託の有無を問わぬ書きぶりになっておる。条文の主語を読み分けるのが肝要じゃぞ。
資格別の演習
委託を受けた保証人が主たる債務者にあらかじめ通知しないで債務の消滅行為をしたときは、主たる債務者は、債権者に対抗することができた事由をもってその保証人に対抗することができる。
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解答:◯
正しい記述です。民法463条1項前段がそのとおり定めています。
主たる債務者が債務の消滅行為をしたことを委託を受けた保証人に通知することを怠ったため、その保証人が善意で債務の消滅行為をしたときは、保証人は、自己の債務の消滅行為を有効であったものとみなすことができる。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法463条2項がそのとおり定めています。
民法463条1項により主たる債務者が相殺をもって保証人に対抗したときは、保証人は債権者に対して何らの請求もすることができない。
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解答:×
誤りです。民法463条1項後段は、この場合に保証人が債権者に対し「相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる」と定めています。