民法第189条・物権

民法第189条:善意の占有者による果実の取得等

自分のものだと信じて使っていた間の実りは、返さなくてよい。ただし本権の訴えで負けたら、訴え提起の時から悪意の占有者とみなされます。

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レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

自分の畑だと思って10年耕してきたのに、他人の土地だったの……。収穫したお米も全部返さないといけない?

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

そこを救うのが民法189条1項じゃ。善意善意ぜんいある特定の事情や事実を『知らない』こと。道徳的な善悪とは関係ありません。用語ページを見る →の占有者は果実果実かじつ物から生じる収益のこと。作物などの天然果実と、賃料などの法定果実があります(民法88条)。善意の占有者はこれを取得できます(民法189条1項)。用語ページを見る →を取得する。実りは返さずともよいのじゃよ。

1項:善意の占有者は果実を取得する

善意の占有者は、占有物から生ずる果実を取得する。

要素 条文の言葉
誰が 善意の占有者
何を 占有物から生ずる果実
効果 取得する

果実には、作物などの天然果実天然果実てんねんかじつ物の用法に従い収取する産出物のこと(民法88条1項)。果物や作物のように、物そのものから生まれてくる実りを指します。用語ページを見る →と、賃料などの法定果実法定果実ほうていかじつ物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物のこと(民法88条2項)。家賃や地代のようなお金も、民法では「果実」として扱われます。用語ページを見る →があります(民法88条)。

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

どうして善意なら返さなくていいの? 他人の物なのに。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

自分のものと信じておれば、実りは使ってしまうものじゃろう。何年もあとになって「あの年の収穫を返せ」と言われては、暮らしが立たぬ。信じて使ってきた生活を壊さぬ——それが1項の構えじゃな。

2項:敗訴すると、訴え提起の時から悪意

善意の占有者が本権の訴えにおいて敗訴したときは、その訴えの提起の時から悪意の占有者とみなす。

要素 条文の言葉
条件 善意の占有者が本権の訴え本権の訴えほんけんのうったえ所有権などの本権を根拠として物の返還等を求める訴え。占有の訴えとは互いに妨げず、占有の訴えについて本権に関する理由で裁判することはできません(民法202条)。用語ページを見る →において敗訴
基準時 その訴えの提起の時から
効果 悪意悪意あくいある特定の事情や事実を『知っている』こと。いじわるな心という意味ではありません。用語ページを見る →の占有者とみなす

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

判決が出た時じゃなくて、訴えられた時までさかのぼるんだ。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

そこが条文の要じゃ。訴えられた以上「自分のものだ」と信じ続けるのは無理があろう。そして**「みなす」**と書いてある。推定推定すいてい一応そうであるものとして扱い、争う側に反対の証明を求めること。「みなす」と違い、反証があれば覆ります。用語ページを見る →と違うて、反証で覆すことはできぬ。民法186条1項の「推定する」との書き分けを見比べておくとよい。

悪意の占有者になれば、次の民法190条により果実の返還義務を負うことになるのう。

判例:「本権の訴え」と「果実」の広がり

最判昭和37年2月27日(集民第58号977頁)

判示事項は「一 民法第一八九条第二項の『本権の訴』の意義 二 建物の占有者の居住による利得と民法第一八九条」です。裁判要旨は次のとおりです。

一 民法第一八九条第二項の「本権の訴」とは、占有者から所有名義人に対して提起した所有権取得登記抹消登記請求の訴ないし所有権確認の訴をも含むと解すべきである。 二 建物の占有者の住居による利得は民法第一八九条第一項にいう果実に当る。

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

「本権の訴え」って、権利者から訴えられる場合だけじゃないんだ!

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

要旨の一は、占有者の側から提起した訴えも含むとしておる。抹消登記請求や所有権確認の訴えじゃな。訴えた側が負けたとしても、2項が働くということじゃ。

要旨の二も見逃せぬ。建物に住んでおったことによる利得が、1項の「果実」にあたるとされておる。作物や賃料だけが果実ではない、というのが判例の示すところじゃな。

資格別の演習

行政書士正誤問題AI生成類題

善意の占有者は、占有物から生ずる果実を取得する。

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解答:

正しい記述です。民法189条1項がそのとおり定めています。

司法書士正誤問題AI生成類題

善意の占有者が本権の訴えにおいて敗訴した場合、判決が確定した時から悪意の占有者とみなされる。

解答・解説を見る

解答:×

誤りです。民法189条2項は「その訴えの提起の時から悪意の占有者とみなす」と定めています。基準時は判決確定時ではありません。

司法試験正誤問題AI生成類題

判例によれば、民法189条2項の「本権の訴え」には、占有者から所有名義人に対して提起した所有権取得登記抹消登記請求の訴えや所有権確認の訴えも含まれる。

解答・解説を見る

解答:

正しい記述です。最判昭和37年2月27日(集民第58号977頁)の裁判要旨一がそのとおり述べています。同判決は、建物の占有者の居住による利得が民法189条1項の果実にあたるともしています。

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