民法第338条・物権
民法第338条:不動産工事の先取特権の登記
工事を始める前に予算額を登記します。予算を超えた分には先取特権が及びません。増価額は鑑定人が評価します。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
不動産工事の先取特権先取特権法律の規定に従い、債務者の財産から他の債権者に先立って弁済を受ける権利(民法303条)。当事者の契約ではなく法律によって当然に生じる担保物権です。用語ページを見る →(民法327条)。こちらの登記登記不動産の権利関係を法務局の登記簿に記録して公示する制度。不動産の物権変動は、登記をしないと第三者に主張できません。用語ページを見る →は?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
民法338条じゃ。工事を始める前——民法337条とは逆向きじゃぞ。
1項:着工前に予算額を登記
不動産の工事の先取特権の効力を保存するためには、工事を始める前にその費用の予算額を登記しなければならない。この場合において、工事の費用が予算額を超えるときは、先取特権は、その超過額については存在しない。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| いつ | 工事を始める前に |
| 何を | その費用の予算額を登記 |
| 超過分 | 工事の費用が予算額を超えるとき → その超過額については存在しない |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
予算オーバーの分は守られないんだ。厳しい……。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
厳しいが筋は通っておる。登記で公示した額こそが、第三者が見て信じる額じゃからのう。あとから膨らんだ分まで優先されては、登記を見た者が裏切られる。
そして民法337条と比べてみよ。
| 民法337条(保存) | 民法338条(工事) | |
|---|---|---|
| 時期 | 保存行為が完了した後直ちに | 工事を始める前に |
| 登記する内容 | (条文に定めなし) | 費用の予算額 |
保存は事後、工事は事前。理由も見えよう。保存は突発的に必要になることがあるが、工事は計画してから始めるものじゃからのう。
2項:増価額は鑑定人が評価する
工事によって生じた不動産の増価額は、配当加入の時に、裁判所が選任した鑑定人に評価させなければならない。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 対象 | 工事によって生じた不動産の増価額 |
| いつ | 配当加入の時に |
| 誰が | 裁判所が選任した鑑定人に評価させる |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
民法327条2項が「増価額についてのみ存在する」だったから、その額を決める必要があるんだね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
よう結びつけたのう。327条2項が範囲を決め、338条2項がその測り方を決める。二つでひとそろいじゃ。
当事者に測らせては争いが絶えぬ。だから裁判所が選んだ鑑定人に委ねておるのじゃな。
判例
最判平成14年1月22日(集民第205号107頁)
裁判要旨は次のとおりです。
不動産工事の先取特権の対象となるべき不動産の増価額が不動産競売手続における評価人の評価又は最低売却価額の決定に反映されていないことは,同先取特権の被担保債権が優先弁済を受けるべき実体的権利に影響を与えない。
参照法条は民法327条と338条2項です。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
手続の中の評価と、実体的な権利は別——要旨が述べておるのはそこまでじゃ。それ以上を足してはならぬぞ。
資格別の演習
不動産の工事の先取特権の効力を保存するためには、工事を始める前にその費用の予算額を登記しなければならない。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。民法338条1項前段がそのとおり定めています。
工事の費用が登記した予算額を超えるときは、先取特権はその超過額については存在しない。
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解答:◯
正しい記述です。民法338条1項後段がそのとおり定めています。
工事によって生じた不動産の増価額は、配当加入の時に、裁判所が選任した鑑定人に評価させなければならない。
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解答:◯
正しい記述です。民法338条2項がそのとおり定めています。