刑法第66条・総則
刑法第66条:酌量減軽
犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、刑を減軽することができます。法律上の減軽事由がなくても使える、裁判所の裁量による減軽です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
同情できる事情があっても、条文に減軽の規定がなければどうにもならないの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そこで登場するのが第66条じゃ。情状情状刑を決めるにあたって考慮される、犯行の事情や犯人の境遇などの一切の事柄。刑法25条の執行猶予や36条2項の過剰防衛の減免は、この情状によって判断されます。用語ページを見る →に酌量すべきものがあれば、それだけで刑を減軽できる。 法律上の減軽事由がなくてもよい、というのが値打ちなのじゃよ。
条文の内容
犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、その刑を減軽することができる。
酌量減軽酌量減軽犯罪の情状に酌量すべきものがあるときに、刑を減軽すること(刑法66条)。法律上刑を加重・減軽する場合でも、さらに行うことができます(67条)。用語ページを見る →です。要件は「犯罪の情状に酌量すべきものがあるとき」だけで、具体的な事由は列挙されていません。
「できる」——裁量による減軽
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
また「できる」だ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そのとおり。必要的なのは39条2項(心神耗弱)、43条ただし書(中止未遂)、63条(従犯)。それ以外の減免はおおむね「できる」じゃ。この区別だけで、選択肢の半分は切れるぞ。
| 条文 | 効果 | 裁量 |
|---|---|---|
| 39条2項(心神耗弱) | 刑を減軽する | 必要的 |
| 43条ただし書(中止未遂) | 刑を減軽し、または免除する | 必要的 |
| 63条(従犯) | 正犯の刑を減軽する | 必要的 |
| 66条(酌量減軽) | 刑を減軽することができる | 裁量的 |
判例——処断刑に幅がなければ働かない
最判昭和40年11月2日は、強盗殺人罪について無期の刑に処するときは、酌量減軽の規定を適用すべきではないと判示しました(判決当時の条文は無期懲役について定めていました。現行法は無期拘禁刑と定めています)。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
減軽するのに、しちゃいけない場合があるの?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
酌量減軽は、処断刑の枠を作るための操作じゃ。その結果として言い渡す刑がすでに決まっているなら、減軽の操作を重ねる意味がない。減軽したうえで、なお減軽前と同じ刑を言い渡すというのは筋が通らんからのう。
67条・71条・72条とのつながり
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 66条 | 酌量減軽ができる |
| 67条 | 法律上刑を加重・減軽する場合でも、酌量減軽をすることができる |
| 71条 | 酌量減軽をするときも、68条および70条の例による |
| 72条 | 加重減軽の順序(酌量減軽は最後) |
資格別の演習
犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、その刑を減軽することができる。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。刑法66条の文言そのものです。裁量的減軽です。
酌量減軽は、法律上の減軽事由がある場合に限って行うことができる。
解答・解説を見る
解答:×
誤りです。刑法66条は「犯罪の情状に酌量すべきものがあるとき」とのみ定めており、法律上の減軽事由の有無を問いません。刑法67条は、法律上刑を加重・減軽する場合であっても酌量減軽ができるとしています。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
条文に書ききれない事情を受け止める窓口が第66条じゃ。次の第67条は、その窓口が閉じないことを確認する条文じゃぞ。