民法第268条・物権

民法第268条:地上権の存続期間

期間を定めなかったら、地上権者はいつでも放棄できます。放棄しないときは、裁判所が20年以上50年以下で期間を定めます。

  • 行政書士
  • 司法書士
  • 司法試験

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

地上権地上権ちじょうけん他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する物権(民法265条)。同じ「借りて使う」でも、債権である賃借権とは性質が異なります。用語ページを見る →の期間を決め忘れたら、どうなるの? 永遠に続いちゃう?

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

民法268条が備えておる。まず地上権者が放棄でき、放棄しないなら裁判所が決める——二段構えじゃ。

1項:いつでも放棄できる

設定行為で地上権の存続期間を定めなかった場合において、別段の慣習がないときは、地上権者は、いつでもその権利を放棄することができる。ただし、地代を支払うべきときは、一年前に予告をし、又は期限の到来していない一年分の地代を支払わなければならない。

要素 条文の言葉
前提① 設定行為で存続期間を定めなかった
前提② 別段の慣習慣習かんしゅうその社会や取引で繰り返し行われてきたやり方のこと。任意規定と異なる慣習は、当事者がそれによる意思を有していると認められるときに従われます(民法92条)。用語ページを見る →がない
効果 地上権者はいつでもその権利を放棄できる
ただし書 地代地代ちだい土地を使わせてもらう対価として支払う金銭のこと。地上権では必ずしも必要ではなく、支払う場合には民法274条から276条までの規定が準用されます(民法266条1項)。用語ページを見る →を支払うべきときは、1年前の予告又は1年分の地代の支払

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

ここでも慣習が出てくる!

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

「別段の慣習がないときは」じゃな。民法217条・228条・236条でも見た構えじゃ。その土地に根づいたやり方があれば、そちらが先。

ただし書も見どころでな。ただ辞めるだけならよいが、地代を払う約束をしておったなら、1年分は面倒を見よ、というわけじゃ。土地の所有者が急に収入を失わぬための備えじゃな。

2項:裁判所が期間を定める

地上権者が前項の規定によりその権利を放棄しないときは、裁判所は、当事者の請求により、二十年以上五十年以下の範囲内において、工作物又は竹木の種類及び状況その他地上権の設定当時の事情を考慮して、その存続期間を定める。

要素 条文の言葉
場面 地上権者が1項により放棄しないとき
誰が 裁判所が、当事者の請求により
範囲 20年以上50年以下
考慮事情 工作物工作物こうさくぶつ人が土地に手を加えて設けた物のこと。建物・橋・トンネルなどを指し、地上権の目的(民法265条)や相隣関係の条文にたびたび登場します。用語ページを見る →又は竹木竹木ちくぼく竹や樹木のこと。隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは切除させることができ、根が越えるときは自分で切り取れます(民法233条)。用語ページを見る →の種類及び状況、その他設定当時の事情

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

20年から50年! 永小作権永小作権えいこさくけん小作料を支払って他人の土地において耕作又は牧畜をする権利(民法270条)。存続期間は20年以上50年以下とされます(民法278条1項)。用語ページを見る →(民法278条1項)と同じ幅だ。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

よう結びつけたのう。他人の土地を長く使う物権として、民法はこの幅を基準にしておるようじゃ。

考慮事情も味わい深い。杉を植えたのか、竹を植えたのか、建物なのか——育つのに要する時間が違えば、必要な期間も違う。裁判所に画一的な数字を押しつけさせぬ書き方じゃな。

資格別の演習

行政書士正誤問題AI生成類題

設定行為で地上権の存続期間を定めなかった場合において別段の慣習がないときは、地上権者はいつでもその権利を放棄することができる。

解答・解説を見る

解答:◯

正しい記述です。民法268条1項本文がそのとおり定めています。ただし地代を支払うべきときは、1年前の予告又は期限の到来していない1年分の地代の支払が必要です。

司法書士正誤問題AI生成類題

地上権者が権利を放棄しないときは、裁判所は、当事者の請求により、20年以上50年以下の範囲内でその存続期間を定める。

解答・解説を見る

解答:◯

正しい記述です。民法268条2項がそのとおり定めています。工作物又は竹木の種類及び状況その他設定当時の事情が考慮されます。

司法試験正誤問題AI生成類題

地代を支払うべき地上権者が民法268条1項により権利を放棄する場合、何らの負担も要しない。

解答・解説を見る

解答:×

誤りです。同項ただし書は「一年前に予告をし、又は期限の到来していない一年分の地代を支払わなければならない」と定めています。

一次情報を確認する