民法第280条・物権

民法第280条:地役権の内容

他人の土地を「自分の土地の便益に供する」権利。人ではなく土地のための権利という点が、地上権や永小作権と大きく違います。

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レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

第六章は「地役権地役権ちえきけん設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利(民法280条)。通行や引水のために設定されます。用語ページを見る →」。地上権地上権ちじょうけん他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する物権(民法265条)。同じ「借りて使う」でも、債権である賃借権とは性質が異なります。用語ページを見る →とどう違うの?

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

民法280条をよう読むのじゃ。「自己の土地の便益に供する」——人のためではなく、土地のための権利じゃ。ここが決定的に違う。

条文の内容

地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有する。ただし、第三章第一節(所有権の限界)の規定(公の秩序に関するものに限る。)に違反しないものでなければならない。

要素 条文の言葉
目的 設定行為で定めた目的に従い
対象 他人の土地を
何のため 自己の土地の便益に供する
ただし書 第三章第一節(所有権の限界)の規定(公の秩序に関するものに限る)に違反しないこと

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

「自己の土地の便益」……。自分が便利になるんじゃなくて、土地が便利になるの?

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

そこじゃ。だから地役権には、必ず2つの土地が登場する。

  • 要役地要役地ようえきち地役権者の土地であって、他人の土地から便益を受けるもの(民法281条1項)。地役権は要役地の所有権に従たるものとして扱われます。用語ページを見る →……便益を受ける側(自分の土地)
  • 承役地承役地しょうやくち地役権者以外の者の土地であって、要役地の便益に供されるもの(民法285条1項)。便益を与える側の土地です。用語ページを見る →……便益を与える側(他人の土地)

この用語は、民法281条1項と285条1項が条文自身のなかで定義しておる。しっかり押さえよ。

「設定行為で定めた目的に従い」

条文は目的を限定していません。通行、引水、眺望——当事者が決めた目的に従うのが地役権です。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

民法265条の地上権は「工作物又は竹木を所有するため」、270条の永小作権は「耕作又は牧畜」と目的が固定されておった。地役権だけが、目的を当事者に委ねておる。柔らかい権利じゃな。

判例:登記がなくても主張できる場合

最判平成10年2月13日(民集第52巻1号65頁)

判示事項は「設定登記のされていない通行地役権について承役地の譲受人が登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者に当たらないと解すべき場合」です。裁判要旨は次のとおりです。

通行地役権の承役地が譲渡された場合において、譲渡の時に、右承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されていることがその位置、形状、構造等の物理的状況から客観的に明らかであり、かつ、譲受人がそのことを認識していたか又は認識することが可能であったときは、譲受人は、通行地役権が設定されていることを知らなかったとしても、特段の事情がない限り、地役権設定登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有する第三者に当たらない。

レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長

登記登記とうき不動産の権利関係を法務局の登記簿に記録して公示する制度。不動産の物権変動は、登記をしないと第三者に主張できません。用語ページを見る →がなくても勝てるんだ! 民法177条の話だね。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

そのとおり。参照法条に民法177条と280条が並んでおる。要旨が挙げる要件は2つでな。

  1. 通路として使用されていることが物理的状況から客観的に明らか
  2. 譲受人がそれを認識していたか、認識することが可能であった

この2つがそろえば、通行地役権の存在を知らなかったとしても、177条の「第三者」にあたらぬ、というのじゃ。

最判平成25年2月26日(民集第67巻2号297頁)

判示事項は「通行地役権者が承役地の担保不動産競売による買受人に対し地役権設定登記がなくとも通行地役権を主張することができる場合」です。裁判要旨は次のとおりです。

通行地役権の承役地が担保不動産競売により売却された場合において,最先順位の抵当権の設定時に,既に設定されている通行地役権に係る承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されていることがその位置,形状,構造等の物理的状況から客観的に明らかであり,かつ,上記抵当権の抵当権者がそのことを認識していたか又は認識することが可能であったときは,通行地役権者は,特段の事情がない限り,登記がなくとも,買受人に対し,当該通行地役権を主張することができる。

ガレ博士フクロウ / 駅長補佐

平成10年判決の枠組みを、競売の場面に及ぼしたものと読める。見るべき時点が「最先順位の抵当権の設定時」、見るべき相手が「抵当権者」に置き換わっておるのう。要旨の言葉を丁寧に追うのじゃぞ。

資格別の演習

宅建正誤問題AI生成類題

地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有する。

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解答:◯

正しい記述です。民法280条本文がそのとおり定めています。

行政書士正誤問題AI生成類題

判例によれば、通行地役権の承役地が譲渡された場合において、譲渡の時に承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されていることが物理的状況から客観的に明らかであり、かつ譲受人がそのことを認識していたか認識することが可能であったときは、譲受人は、特段の事情がない限り、地役権設定登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有する第三者に当たらない。

解答・解説を見る

解答:◯

正しい記述です。最判平成10年2月13日(民集第52巻1号65頁)の裁判要旨がそのとおり述べています。

司法書士正誤問題AI生成類題

判例によれば、承役地が担保不動産競売により売却された場合において、最先順位の抵当権の設定時に一定の要件を満たすときは、通行地役権者は、特段の事情がない限り、登記がなくとも買受人に対し通行地役権を主張することができる。

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解答:◯

正しい記述です。最判平成25年2月26日(民集第67巻2号297頁)の裁判要旨がそのとおり述べています。

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