民法第298条・物権
民法第298条:留置権者による留置物の保管等
善管注意義務を負い、承諾なく使用・賃貸・担保供与はできません。違反すれば消滅請求を受けます。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
留置している車、どうせ預かっているなら乗ってもいい?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
いかん。民法298条2項が禁じておる。しかも違反すれば、留置権留置権他人の物の占有者が、その物に関して生じた債権の弁済を受けるまで、その物を留置できる権利(民法295条1項)。修理代を払ってもらうまで品物を返さない、という場面が典型です。用語ページを見る →そのものを失いかねぬぞ。
1項:善管注意義務
留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有しなければならない。
善良な管理者の注意善良な管理者の注意その立場の人に通常求められる程度の注意のこと。共有物を使用する共有者や各種の管理人が負う注意義務の基準です(民法249条3項・264条の5第1項など)。用語ページを見る →をもって占有すべきことが定められています。
2項:使用・賃貸・担保供与の禁止
留置権者は、債務者の承諾を得なければ、留置物を使用し、賃貸し、又は担保に供することができない。ただし、その物の保存に必要な使用をすることは、この限りでない。
| 内容 | |
|---|---|
| 原則 | 債務者の承諾なく、使用・賃貸・担保に供することはできない |
| ただし書 | その物の保存に必要な使用は、この限りでない |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「保存に必要な使用」ならいいんだ。車のエンジンをたまにかける、みたいな?
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
条文が挙げておるのは「保存に必要な」使用じゃ。1項の善良な管理者の注意善良な管理者の注意その立場の人に通常求められる程度の注意のこと。共有物を使用する共有者や各種の管理人が負う注意義務の基準です(民法249条3項・264条の5第1項など)。用語ページを見る →を果たすためには、まったく手を触れぬわけにもいかぬからのう。1項と2項ただし書は、つながっておるのじゃ。
3項:違反すれば消滅請求
留置権者が前二項の規定に違反したときは、債務者は、留置権の消滅を請求することができる。
| 要素 | 条文の言葉 |
|---|---|
| 条件 | 前二項(1項・2項)の規定に違反 |
| 誰が | 債務者 |
| 効果 | 留置権の消滅を請求することができる |
判例
最判昭和40年7月15日(民集第19巻5号1275頁)
判示事項の二は「留置物の第三取得者は民法第二九八条第三項により留置権の消滅を請求できるか」です。裁判要旨の二は次のとおりです。
留置物の第三取得者も、民法第二九八条第三項により留置権の消滅を請求できる。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
条文は「債務者は」だけど、買った人もできるんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
要旨がはっきりそう述べておる。条文の文言を判例が広げた場面じゃな。
最判平成9年7月3日(民集第51巻6号2500頁)
判示事項は「留置権者が留置物の使用等の承諾を受けた後に留置物の所有権を取得した者による留置物の使用等を理由とする留置権の消滅請求の可否」です。裁判要旨は次のとおりです。
留置物の所有権が譲渡等により第三者に移転した場合において、右につき対抗要件を具備するよりも前に留置権者が留置物の使用又は賃貸についての承諾を受けていたときは、新所有者は、留置権者に対し、右使用等を理由に留置権の消滅請求をすることはできない。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
昭和40年判決が第三取得者にも消滅請求を認めたうえで、その限界を示したのがこちらじゃ。
分かれ目は「対抗要件を具備するよりも前に承諾を受けていたか」——時間の前後じゃな。先に承諾をもらっておれば、後から来た所有者に消滅請求はされぬ、と読める。
資格別の演習
留置権者は、債務者の承諾を得なければ、留置物を使用し、賃貸し、又は担保に供することができない。
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解答:◯
正しい記述です。民法298条2項本文がそのとおり定めています。ただし、その物の保存に必要な使用をすることは除かれます。
判例によれば、留置物の第三取得者も、民法298条3項により留置権の消滅を請求することができる。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。最判昭和40年7月15日(民集第19巻5号1275頁)の裁判要旨二がそのとおり述べています。
判例によれば、留置物の所有権が第三者に移転した場合において、対抗要件を具備するよりも前に留置権者が使用又は賃貸についての承諾を受けていたときは、新所有者は使用等を理由に留置権の消滅請求をすることができない。
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解答:◯
正しい記述です。最判平成9年7月3日(民集第51巻6号2500頁)の裁判要旨がそのとおり述べています。
留置権者は、留置物の保存に必要な使用をする場合であっても、債務者の承諾を得なければならない。
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解答:×
誤りです。民法298条2項ただし書は「その物の保存に必要な使用をすることは、この限りでない」としています。