刑法第225条の2・略取、誘拐及び人身売買の罪
刑法第225条の2:身の代金目的略取等
安否を憂慮する者の憂慮に乗じて財物を交付させる目的での略取・誘拐と、その後の財物要求を処罰します。章のなかで最も重い条文です。
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
「安否を憂慮する者の憂慮に乗じて」——ずいぶん具体的な書き方だね。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
家族の心配につけこむ——その構図を、条文が正面から言葉にしておるのじゃ。だから刑も無期まで届く。
条文の内容
| 項 | 内容 |
|---|---|
| 1項 | 近親者その他略取され又は誘拐された者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じてその財物を交付させる目的で、人を略取し、または誘拐した者は、無期又は3年以上の拘禁刑に処する |
| 2項 | 人を略取し、または誘拐した者が、近親者その他略取・誘拐された者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じて、その財物を交付させ、又はこれを要求する行為をしたときも、前項と同様とする |
1項と2項
| 項 | 場面 |
|---|---|
| 1項 | 最初から身の代金目的で略取・誘拐した |
| 2項 | 略取・誘拐した後に、財物を交付させ、または要求した |
レガちゃんパグ犬 / 見習い駅長
後から思いついた場合も同じ刑なんだ。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
そのとおりじゃ。時間の前後を条文がふさいでおる——197条2項(事前収賄事前収賄公務員になろうとする者が、その担当すべき職務に関し請託を受けて賄賂を収受等する類型(刑法197条2項)。公務員となった場合に5年以下の拘禁刑に処せられます。用語ページを見る →)と197条の3第3項(事後収賄事後収賄公務員であった者が、在職中に請託を受けて職務上不正な行為をしたこと等に関し、賄賂を収受等すること(刑法197条の3第3項)。退職後の授受を捉えます。用語ページを見る →)でも見た型じゃな。
判例——罪数関係
最判昭和57年11月29日は、営利の目的で人を略取した者がみのしろ金要求罪を犯した場合には、両罪は併合罪の関係にあるとしました。
併合罪併合罪確定裁判を経ていない2個以上の罪のこと(刑法45条前段)。ある罪について拘禁刑以上の刑に処する確定裁判があったときは、その罪と裁判確定前に犯した罪だけが併合罪になります(同条後段)。用語ページを見る →ですから、刑法45条以下の規定により処断されます。
章のなかでの重さ
| 条文 | 目的 | 刑 |
|---|---|---|
| 224条 | なし(未成年者) | 3月以上7年以下の拘禁刑 |
| 225条 | 営利等 | 1年以上10年以下の拘禁刑 |
| 225条の2 | 身の代金 | 無期または3年以上の拘禁刑 |
| 226条 | 所在国外移送 | 2年以上の有期拘禁刑 |
解放による刑の減軽
第228条の2は、公訴が提起される前に略取され又は誘拐された者を安全な場所に解放したときは、その刑を減軽すると定めています(本記事の範囲外の条文ですが、225条の2と組で押さえる規定です)。
未遂・予備
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 228条 | 225条の2第1項の罪の未遂を罰する |
| 228条の3 | 225条の2第1項の罪を犯す目的での予備を罰する |
資格別の演習
人を略取した者が、その後に安否を憂慮する者の憂慮に乗じて財物を要求したときは、身の代金目的で略取した場合と同じ刑に処せられる。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。刑法225条の2第2項が「前項と同様とする」と定めています。
営利の目的で人を略取した者がみのしろ金要求罪を犯した場合、両罪は併合罪の関係に立つ。
解答・解説を見る
解答:◯
正しい記述です。最判昭和57年11月29日の判断です。
ガレ博士フクロウ / 駅長補佐
次の226条は、国境を越えさせる目的の類型じゃ。